アラファト議長の死去と中東の再燃


 PLOパレスチナ解放機構)議長であったアラファト氏が11日、死去した。
パレスチナの解放とイスラエルへの対抗という象徴として、イスラエルアメリカから時にテロリスト扱いされながらも、ノーベル平和賞を授与されるに至った人物であった。


 そのアラファトが亡き今、ブッシュが「4年以内にパレスチナ建国」と、英首相ブレアと会談したという。
ソース>>これ。
アメリカ、イギリスの中東への介入が、争乱の火種の一つとしてあるにも関わらず、またちょっかい出して戦争起こす積もりと思うと、懲りないと言うか、所詮はエサでしか無いんだなと思わざるを得ない。


 確かに、イスラエルの問題は遡ればバビロン捕囚(B.C.500くらい?)とかまで行っちゃうので、その根深さには眩暈すら起こしてしまいそうだが、ここ百年くらいの西欧列強の介入が特に中東の問題の根本である事もまた否めない。
そう、丁度「アラビアのロレンス」の時代、石油利権などを我が手にと続々介入した欧米によって、国境が強引に作られたりした所為で、結果民族間の対立や宗教的対立が激化した側面がある。
特に、オスマントルコが滅んだ際に、大英帝国はアラブ人には独立、ユダヤ人には国家建設というひとつの地域にふたつの国家建設という矛盾した約束をした事が大きい。
更に、第二次大戦後、アメリカの後押しによってイスラエルが建国されると、そこに今まで住んでいたパレスチナの人々は追いやられ、その追い遣られたパレスチナの人々が自分の居住地であり、聖地であったエルサレムの奪還を目指す為に、そしてイスラエルイスラエルで更なる領土の拡大を狙い、それこそ血で血を洗うような闘いに呉れている。


 そういった状況下にあるイスラエルパレスチナを「まあ喧嘩すんの止そうぜ」とオスロ合意と呼ばれる停戦会議で一時的に仲直りさせたのがアラファトであった。
だがそう易々と、怒りや恨みを忘れる事が出来ない者も多いのが事実。
そう言った者達によって過激派が組織され、テロ行動に出るものが後を絶たない。


 そして、アラファトというパレスチナの障壁が居なくなった現在、アメリカとイギリス主導による新国家建設をするというのが、このソースに書かれている事であるのだ。
しかし、じゃここお前の国ね、と言った所でそう易々と従うか、と言う素朴な疑問がまず浮かぶ。
パレスチナの人々が拘るのは、生来住んでいたからと言うだけではない。聖地であるからこそ拘っているのだ。
確かに、難民のような生活よりは幾漠もましであろう。だが、問題の根本には至らない。
この問題を厄介にしているのは一神教というものだろう。
ユダヤ教イスラム教も、根は全く同じであるにも関わらず、他者を容認しない思想であるが故に、異端者として排除する。
教義に共存と言う思想が存在しない以上、いつまでも泥沼が繰り返される。
また、アラファト議長の死去によって、今まで抑えられてきた民族・部族間紛争の再燃も当然、懸念される。


 テロを無くすには、どうすればその原因を無くす事が出来るかと言う答えしか俺は無いと思っている。
この英米の介入が、その原因を無くすに至るかと言えば、恐らく否であるだろう。
寧ろ、4年以内に中東で戦争が起こる可能性さえある。
そして、流された血はまた新たな血を求めるのだ。
悲観的かも知れないが、安易な楽観より遙かに現実的だとは思う。
さて、中東の明日は如何に。