トイレde地震

 今日午後、関東地方を中心に比較的強い地震があった。
横浜での震度は4と報道されていた。


 丁度その頃。俺はと言えば。
小汚い話で申し訳無いが、トイレの便座に座り一安心した所。
最初に横に小さく揺れているのを感じた時は、まだ疲れが残っているのかと思ったが、それが次第に強くなるに連れて、あ、地震か、と思うに至った。
そして、その揺れが大きくなって来ると流石に、些か冷や汗をかく。
こんな所で大地震に遭いたくなんか無い、と。


 最近、各方面で大地震が来るかも、という話がまことしやかに囁かれて居た。
その事が脳裏をかすめたのだ。
そして、阪神大震災の時の映像がフラッシュバックする。
倒壊する家屋、瞬く間に広がる炎。瓦礫の中から助け出される人々。
もし仮に今大地震が来たら、この格好こそが大ピンチ。
救助隊によって72時間振りに、トイレからフルチンで救助される映像がお茶の間に流れる(しかも感動のナレーション付き)ってのも厭なので、慌てて用を足しトイレから出る。


 絶対に地震が来ないと言えないのと同様に、絶対に地震が来るとも言えない。
だから、ここ最近噂されているような事も、あまり気にしすぎてはならないだろう。
勿論、いつか来るかも知れない地震の為に準備をしておくと言うのはとても大事な事だが、その事を恐れて日常に支障が出ては将に杞憂の例えの如し。


 なのですが。
もし地震が来るような事があっても、俺がトイレに座ってる時は避けて欲しいと思った。
いや、確かにトイレと言うのは「雪隠詰め」の言葉にも在るとおり、建築の構造上、最も堅牢な場所ではあるのだが、そこで迎える地震てのは最悪な気分ですよ。
うわー、俺ここで死ぬの絶対厭、って思うよ。


 そして、唐突に思ったのだが。
人ってのは、何かしら不安を抱いていたい生き物なのかも知れない。
必要の無い時にさえも、何らかの不安を心に抱いている人というのは案外多いんじゃ無いかしらん。
逆に不安の無い人ってのは、絶対的な安心感を何事にも抱いていると言う事だが、それはリスクを考えないとか、ご都合主義とか、或いは本当に考え無しなのか、その何れかじゃなかろうか。
まあ、俺が様々な不安を常に抱き、戦っているからこそそう思うのかも知れないけど。