「アンダーワールド」「東京ゴッドファーザーズ」批評

 プレステ2があるので、DVDを見られると言う事に遅まきながら気が付き、近くのレンタルショップでこの2本を借りてきた。
二つのパッケージをシャッフルして、籤のようにして弟に選ばせ、最初に出た「アンダーワールド」から。
これから借りてみようかな、と思う人の手助けとなれたら幸い。


アンダーワールド
 これは、数百年にも及ぶ、吸血鬼とライカンスロープ(獣人)との闘いを描いたもの、らしい。
画面も全体を通して青暗く、闇の住人達の闘いであることを示している。
が、雰囲気作りにばかり凝ってしまって肝心の中身が余りにも疎か。
一見スタイリッシュに見えるのだが、それは「リベリオン」などを見た後では効果も薄い。
至る所に現れるゴシック調の雰囲気も無駄。
それに、所々無意味に悪趣味に走るきらいがある。臓器のCGなんぞどうでもいい。


 メインは、バンパイアとライカンの銃撃戦のシーン。つうかこればっか。
あのさ、銃器使うんならバンパイアやライカンである必然性が無い訳で。
なんかこう、オーラとか纏ってたり手から火の玉出したりとか、コウモリに姿を変えるとか、人間とは違う、如何にも超人的な、それらしいシーンは皆無。
しかも、バンパイアの人達はみんな、ラバーや革のボディスーツ、ロングコート着てるからマトリックスの亜流や、単なるボンデージフェチにも見え始める。つうかバンパイア弱すぎ。銃器に頼りすぎ。


 ストーリーも、一見壮大そうで実はしょっぱい。
何故、バンパイアとライカンが争うようになったかも説明されるのだが、単なる個人間の諍い。
あまりに退屈で見ながらうたた寝したのは久しぶりだ。


 正直、この映画見るなら「リベリオン」ての見なさい。
アクションも、格好良さもあっちのが段違いだから。
多分、このアンダーワールド、金貰って見ても損したって思うんだろうなあ。
弟曰く「雰囲気から何から、ゲームに負けてるようじゃ駄目だ。」


東京ゴッドファーザーズ


 これはアニメなんだけど、そう思って見ないなら、損。
写実的な描写なので、所謂「アニメ」的なデフォルメもされておらず俺には見やすかった。
自称元競輪選手、ドラッグクイーン、家出女子高生の三人のホームレスが、偶然見つけた捨て子の親を捜すという話。
クリスマス(この日だからこそ意味がある)から大晦日にかけての5日間、親を捜す流れの中で、同時に3人の「自分探し」も含まれていて、宛らロードムービーの趣もある。


 至る所でご都合主義的に「奇跡」が起こるのだけれども、それを嫌味に感じず、寧ろ偶然の連続の面白さと捉えられる。
また、小さなエピソードの数々も、社会風刺のスパイスを利かせてはあるものの、厭な匂いは感じない。
勿論、「これは無えだろう」と言うシーンもちらほらあるけれど、苦笑い、或いは爆笑で済ます事が出来る。
ま、それを言い出したら映画なんぞ見れないしね。


 俺は敢えてこれ以上書くまい。下手な先入観を与え、見る人の楽しみを奪いたくない。
ただ一言、言うのであれば、「見とけ」。
神が最後に起こし給う奇蹟や如何に。