俺生誕祭終了。

 遥々遠方からわざわざ友人達が来てくれた。本当に有難い事と思う。
車を借り、俺のリクエストで箱根にある天山という温泉に向かう。
俺の誕生日であるにも関わらず何故か俺が運転手を務め、そしてナビがバカなお陰で変に遠回りのルートを通り、通常の倍位の時間を掛けて行くと言う羽目になったりもしたけれど、それはそれで楽しかった。


 温泉に浸かり、だらだらと汗を流し終えてから以前にも書いた魚料理屋に向かう。
俺の誕生日なのだから俺の好きな肉を食いたい所ではあったが、珍しい魚を食える事は悪くない。
その日のレアメニューは「沖タカベ」「ショウゴ」「モクアジ」「クロムツ」「カイワリ」。
クロムツは冬の魚だと知っていたのでスルーしたが、他のは初めて聞くものばかり。板前の親父に魚を見せて貰ったりして一人何故か興奮する。これも海人の血なのだろうか。
釣りマニアであり魚フェチである弟とメールで相談し、カイワリなるものを頼んでみた。鯵科の魚で、夏が旬であるにも関わらず、その脂の多い事といったら。刺身で頂いたが、脂の所為で山葵が利かない。すごいと思った。
勿論、旬の鯵の寿司とかもごちそうになったけどね。


 日が明けて翌日。友人達とランチ喰う為にファミレスに行き、食い終わりて駐車場に向かおうとした矢先。
からっと晴れていた空が一転、どしゃぶりに。その時間たるやほんの数分。台風が接近していたから天気は不安定だろうとは思っていたが、こうも不安定だと逆に笑う。
車になんとか乗り込んで走り出してからも、太陽が姿を見せ晴れたと思った次の刹那、猛烈な雨と風が横から殴りつけるように降ったりして、一時はワイパーも役に立たず、徐行せざるを得ない程。
目の前に、雨の塊と言えるようなものが迫って来る度に無意味におおはしゃぎ。


 帰る友人達を送り、最後は羽田に到着。
飛行機に乗った友人達を見送ろうと屋上に赴いたが台風のために閉鎖。やむなく地上から、友人達を乗せているだろうと思われる飛行機を見送っていたら、丁度その飛行機が飛び立った後に虹が出来た。
しかも、普通の地上に掛かるアーチのようなものではなく、その飛行機を中心点とした感じで。
どうしても、こうした別れの際はしんみりとするものではあるけれど、その虹のお陰で俺は言いようのない、何か明るい印象を受けた。天候の不安定さが生み出した産物にしか過ぎないと言えばそれまでだが、例え偶然の産物にしても、妙に心が晴れやかになった。

 毎年々々、この時期になると俺はブルーになるのだけれども、今年はブルーになる隙すらなかった。
本当に嬉しいし、有難い事だと、繰り返しではあるが改めて思った。