社保庁、解体(予定)

 いつになるかまだ判らないけども、将来、社会保険庁がどうやら解体するらしい。
ソース>>こちら。
遅きに徹したきらいはあるが、あれだけ金に杜撰な所だったのだもの、この決定は不可避であるだろう。
今まで、凡そ6兆円の金を年金の支払い以外に流出させ、そして今も3千億円もの累積赤字を抱えているのだから。


 ただ、この解体には随分とキナ臭いものも感じるのは俺だけであろうか。
まず、文面での「将来的」という言葉。あれだけの組織を解体する事になれば、当然、甘い汁を吸ってる連中は猛反発をするだろう。それこそ、郵政民営化の様子を見れば良く分かる。
よほど、強い意志を以て取りかからないと、結局は先延ばしになって何もしないままになってしまうのではないか、と言う疑念。
また、解体されれば独立行政法人となるだろうけども、名前だけ変わってやる事同じ、と言う某公団の様になるのでは無いかという疑念や金の動きが余計に不透明になるのではないか、と言う疑念。
また、分割民営化される際に、その利権をどこが奪うかと言う醜い争いの果てに本来の役割を全く果たさなくなる疑念。
ざっと挙げただけでも、これらの疑念が渦巻く。


 年金というシステム自体は、非常に重要、かつ有用なシステムである。
国民が安心して過ごす事が出来る、と言う一種の保険であるだろう。
しかし、その運用を誤る事こそがそもそもの発端である。それは長く言われてきた事だけれども、社保庁自体にその自覚が無いのは結局、仕事に対する責任感が無い、と言う一言に尽きるのだろう。
そして結果、年金システム自体が白眼視され、破綻する。


 マスコミなどでも少し騒がれていたが、例えば45分働いて15分休む、PCで文字打つ時は5千字以上禁止、電話は切るまでが電話です、などと教えられるような所では責任感など芽生えようも無い。
その上で、少しでも自分たちだけ利益を得ようと言う極めて個人的なメリットばかり追求していては、組織や社会自体の利益を追求しようとしていたとしても、寧ろそれは邪魔者となり頭を打たれるだろう。
そんな所じゃ、破綻して当然。


 ここまで書いて思ったのだけれども、社保庁をはじめとする役所って、末期の共産主義に似ている気がする。
共産主義、特にソビエトの崩壊には諸説あるが、俺は舵取りをする人々の腐敗と、「特に何もしなくても或る程度食える」事による末端の怠惰の蔓延、それが促す停滞が主立った理由だと思っている。
基本的に公務員は利益を追求する立場には居ないけれども、為さねばならぬ事はある。赤字を作らない、とかさ。
けれど、それすらも機能していないのは、この共産主義の末期状態に近い状態だからではないか。
そして、そう考えると極めて不思議な、かつ皮肉に満ちた組織であると思う。自由民主主義、及び自由市場経済の国家でありながら、結果として対極にいる共産主義システムになっている訳だから。


 ちょっと逸脱したけど、社保庁そのものの解体は歓迎すべき事ではあるだろう。
しかし、最も肝要なのはその解体後の事である。
マイナスからのスタートで、如何にしてプラスに転じるか。
また、内部の腐敗をどう切り捨て、または癒して行くか。
余程の英断の連続を下さない限り、元の木阿弥だとは思うがな。
つうか、ふと思ったのだけども、JRにしろ道路にしろ郵政にしろ、こんな調子で分割民営化して行ったらその内、公務員という枠そのものが激減していくのではない?