論文自動採点システム

 論文もついにコンピューターで採点されるようになるかも知れない。
日本入試センターが、小論文を機械的に優劣を分けるシステムを開発しているという。
ソースは>>こちら
どうやら、語彙力や論理構成、そして出題されたテーマとの整合性を機械的に判断しているらしい。


 ただ、日本語の場合、英語の様な単純な論理展開だけでは済まず、ソースでも示されている通り独特な言い回しなども多く、単純にシステムで簡単に振り分けられるのだろうか、と言う疑問もある。
また、題材の切り口の斬新さ等という機械化出来ないが極めて重要だと思われる点が無視されるだろうという点も、看過出来ない点であるだろう。
他人と変わらぬありきたりな事を延べる事が高得点で、斬新な事を延べたら低得点、そんな事が起こらないとも限らない。
そもそも、小論文には正解というものが存在しない。


 では、どこで点数を作るかといえば、論理構成能力、根本的な国語力、主観性と客観性のバランス、主題者の意図をどこまでくみ取るか、と言ったものが大きなウエイトを占めるだろう。
それらをどこまでシステムで採点出来るか、が問題だ。


 いきなり矛盾するかも知れないが、論文やレポートなどというものは極めてシステマティックなものである。
土台となるシステムを自分の中に構築してしまえれば、あとはそれを応用させるだけで済む。それが「論理構成能力」というものだし、「思考力」というものだ。


 「論文」というのは、「論じた文章」である。だが、論ずる事はただ、自分の考えを延べる事ではない。相手を説得させるだけの力を持たなくては意味がないのだ。
その為に客観性を持つ事が不可欠になる。自己の主張が単なる主観だけのものではない、と証明することになるからだ。これが論文の基礎的なシステムにあたる。その上で、理路整然と、筋道立てて論ずる事。これが「論理的」であると言う事だ。言う事に矛盾なく、澱み無く記された文章はそれだけで説得力を持ちやすい。


 そして、それらを裏付けるものは情報量である。学力的なものだけではなく、世の中の事象、その背景、そういったものに目を凝らしているかどうか、と言う事である。
その入り口にあたるのが「疑問」である。
例えば、最近のニュースでいえば、「学校に乱入した男が殺人事件を起こした」。これに対し、「あら怖い」だけで終わらせるのか、「なぜそんな事をしたのか?」と思うのか。
疑問は連鎖する。それを深く考えていく事こそ、「システム」の極めて基本的な修得に他ならない。
また、小論文とは、そう言う事をしているかどうかを読みとるものであるし、そして漢字や熟語の多さを競うようなものではない。それはどうしても、二次的なものになる。


 しかし、この論文振り分けシステムではそれが重要視されている傾向があるようだ。また、敢えて適当に題材を散りばめる事で点数が上がる事も確認した。
と、言う事はだ。
論文のテストの際に、適当に四字熟語など多用しつつ、テーマをあえて「それ」などと指示語を使わずに書くだけで高得点が狙える。もっと煮詰めれば、どんな駄文でも満点に近い点数を取る事だって可能だろう。


 だが、それは本来求められている思考力とは何の関係もない。強いて言えばパズルが出来るかどうか、と言うものだ。
そんなもので合否が分かれるとしたら、受験生が不憫でならない。
恐らくは最低点数に到るかどうかだけを振り分けて、それから人間の手によって振り分けられるのだと思うが、何処かの莫迦な大学などは、全部これで済ませてしまいそうでもある。まあ、そんな所は大凡学究とは遠く離れた、学生から金を集める為のレジャーランドみたいなものだとは思うけれども。


 と、ここまで懸念ばかり書いたけれども、個人的に遊ぶのであれば、これ面白いよ。
自分の文章を採点して貰えることってそんなにないし。少なくとも、個人HPにあるような、巫山戯半分の代物とは違い、相応の金をかけて開発してるものだから、まあ、半端な結果ばかり出すことも無いだろう。
このシステムの結果だけを信頼するのは非常に問題があるけれど、例えば、ブログなどで論文のようなものを書いてる人などは、下書きをこれに放り込んで添削して貰って、アップするってのも良いかも知れないね。
少なくとも、俺みたいに半端に長い、しかも論文ぽい(論文ではない)ものを書く人には、結構ありがたい。
なお、>>こちらがその採点システムです。
遊び半分でレッツトライ!


 因みに、俺もこれ、やってみましたよ。2月5日の「偽造通貨と円安とインフレ」のやつで。
全点10点にして計測してみた結果。
・修辞 8.0 ( 10 )
 連用形や接続助詞の句の並びの多い文が、ややあるように見受けられます。
 語彙の多様性がやや不足しています。
 長くて難しい語がやや少ないように見受けられます。


・論理 10.0 ( 10 )
・内容 7.1 ( 10 )
・分量過少による減点 0

・最終得点 25.1 ( 30 )


 8割越えてるから、一応は合格点か。つうか、論理10点なのが逆に胡散臭い。