尼崎脱線事故と過当競争の果て

 ここ暫く更新してなかったので、人によっては「忙しかったんだろうな」と思われてるかも知れないWacremaです、こんにちは。
残念、事実は往々にして真逆にあるのです。GW中は派遣屋にとっても人の集め時だから、餌に釣られた新規にばっかり仕事が行って、俺普通に連休でしたよ。マジで金ねえつうの。
じゃあ何故更新してなかったかって?
決まってるだろう、仕事無くて凹んだり膨らんだりしてたからだよ。


 それはさておき。
尼崎で大変に痛ましい事故があったが、最近ではJRの体質や行動、そういった諸々のものに対しマスコミはこぞって糾弾をしている。
それは分からなくもない。事故が起きてるのにボーリングしてたりとか、事故の晩に飲み会やってたりとかってのは確かに常軌を逸している。
しかし、やはり一番糾弾されているのが「時間通り運行する事」に対してであるのが俺には腑に落ちない。
どうも、問題をはき違えているような印象を受けるのだ。


 時間通り運行する、という事は運転手が最低限しなければならない「仕事」であるだろう。
勿論、人である以上、完璧などというものは存在しない。ミスもある、遅れもあるだろう。
その場合に如何にフォロー出来るか、が肝要であって、そしてミスをしても命と引き替えにスピードを上げて挽回せざるを得ない状況こそが問題だったのではないだろうか。
そして、その問題は他者との過当競争の果てに行き着いた過密なスケジュールにある。


 恐らくこの問題は、大方の人にとって対岸の火事のような印象を与えている事だろう。
しかし、構造としては本当に多くの人に関わる問題である事を俺は指摘する。
それは、「過当競争」という構造と問題である。


 企業は利益を追求する事がその存在意義とされる。従って、どうしても他社と競争して行かねばならない宿命を持つ。
しかし、それが往々にして行き過ぎたものとなっているのではないだろうか。
本来は、企業が黒字となるラインがあって、少なくともそのラインより利益が出ていれば問題はない。無論、それだけでは心許ないし、少しでも利益が多く出ればそれは即ち資産となる。
だから少しでも多くの利益を出そうと奔走する。
だが、その「少しでも」という欲望がやがて大きなものとなり、血眼になって社員を働かせている会社も決して少なくは無いだろう。
その結果、常に高いノルマを課せられる営業マンや、サービス残業等という違法行為に荷担せざるを得ない人々が続出する。
恐らくは本来、そのノルマはもっと低い筈、または定時にあがってもおかしくはない仕事であるにも関わらず、だ。


 そして、「利益」を上げる為には人を駒として扱い、また人の道に外れるような事もし始める。
格好の例が、過日あった複数のリフォーム業者らによる、認知症の老姉妹をターゲットにした事件だ。
詳しいソースは>>こちらを参照。
一昔前は「痴呆」などと呼ばれていた事もある、脳の病気だ。そこをつけ込み、騙す様にして計4000万円以上もむしり取り、そして「利益が出た」とホクホク顔をしているような企業は、やっぱりおかしい。
これが極端な例とはいえども、でもやはり多かれ少なかれそう言った風潮はあるのではないだろうか。
多くの人が否応なく「利益追求」の競争の渦に巻き込まれ、そして抜け出せず、また抜け出した者の極少数を除いて、一度陸に上がったは良いけれど、陸には食べるものもなく、かといって海には飛び込ませて貰えない、そう言う人もまた多いのではないだろうか。


 競争自体を否定することは出来ない。
俺達の身の回りのあらゆるものに、競争はついて回る。
しかし、シャカリキになって競争しなくても良いじゃん、とも思うのだ。
人によって歩く速さも、歩幅も違う。けれど一様に猛ダッシュする事を求められ、より大きな利益を出すように求められる。
そうしてはずみが付いたものは、より加速しようとする。
そうではなく、まず為すべき事を為し、その上で余剰を狙う。
余剰をも「為すべき事」に含めるのでは無く、それとは別にして行く。それでも良いじゃん。
競争に負けたとて、「まあでも、浮き出てるから良いか」って思考。それこそがあの事故の再発を防ぎ、そして各企業に求められるものではないだろうか。


 高い回転数でモーターを回し続ければ、確かにスピードは出るけれど、加熱し、オーバーヒートしてしまい、結果、寿命は早く尽きる。
常にフルスピードで行くのではなく、ゆとりを持って、一定のスピードを心がける。
企業も、人も、それで良いじゃん。スピード出したい奴は出せばいい。けど、それを他人に強要しないという前提で。


 こんな風に考えて仕舞う俺は、やはり経営者には向いていないのだろうか。
向いてないんだろうな、やっぱ。