ミルクセーキ雑考

 仕事を入れたくても仕事がない、などと言われては詮方ない事。本を買いたくても金はない。
ならばと図書館へ赴いた。
読んだ骨董関係の本の中に、明治時代の削氷機−今でいうかき氷機−の事が記してあり、その傍らには同じく明治時代のミルクセーキの広告が載っていた。
「滋味に富む」と大きく記された広告の横に、「食べる」という単語があった。
…食べる? ミルクセーキを?


 俺の中でのミルクセーキの印象は「液体」である。
しかし、どうやら当時はかき氷の上に卵と牛乳、そして蜂蜜(或いは砂糖)で味付けしたシロップを掛けたものを「ミルクセーキ」と呼んでいたようだ。
セーキ=shakeである事を考えれば、普通はシェーカーに入れ攪拌したものこそミルクセーキだろう。
それがいつしか曲解されて伝わった様である。


 この明治時代のミルクセーキ味のかき氷。
よく考えれば、アイスクリームの様である。そういえば、明治2年、横浜馬車道で発祥したアイスクリン*1も、「アイスクリーム」と言うよりは「シャーベット」、若しくは「かき氷」ライクだった。
あくまでも一考察に過ぎないが、ミルクセーキと言うものが全国に伝わって行く最中、どこかでアイスクリンと混同されてしまい、それが逆に定着した可能性もある。


 その「食べるミルクセーキ」、ちょっと見てみたい。
そう思って検索をかけてみたところ、主に九州地方ではミルクセーキ=食べるものと言う事が分かった。
参考URL1:http://www.at-nagasaki.jp/nagazine/hakken0302/index3.html
参考URL2:http://www.ruri-tu.jp/best/best15/best15.html#T2
参考URL3:http://weekend.nikkei.co.jp/kiko/20040512sp75c000_12.html
つうかこいつら凄い旨そうなんですが。


 文化は同心円状に広がって行く。
ミルクセーキが明治時代に全国的に広がったとすれば、ひょっとしたら東北、北海道あたりには今も「食べるミルクセーキ」を出す所があるかも知れない。
また、基本的にはそのレシピは「卵黄、牛乳、砂糖(蜂蜜)、バニラ」であるけれども、ひょっとしたら全然違うものがあったりするかも知れない。メレンゲ入れたりとか。


 などと書いてたら今無性にミルクセーキが飲みたくなった。
久々に、作るとするか。


追記:もしこれを読んだ方の中で「ウチのミルクセーキはこうだ」などと言う方、または「食べるミルクセーキ」をご存じの方、遠慮なくコメントの所に記述プリーズ。

*1:註:現在も馬車道ではそのアイスクリンを販売している。確か「相生」という店。