アナル痛し


 過日、鎌倉に赴いて後、どうも尻が痛いとは思っていた。
俺は以前、コンビニの夜勤をしていた時に脱肛になった事があり、長時間立ちっぱなしだったり体を冷やしたりと様々な条件が重なるとそれが再発する癖を持っている。
また、あれか。そう思っては居たのだが、その痛みは日ごとに強くなり、どうした事だろうと恥ずかしながら鏡を見てみれば。


 ただ脱肛しているだけではなく、肛門に直結するあたりに小豆のようなものがある。
肉色の、膨れあがったそのモノは、興奮し隆起した女の隠核にとても似ており、そして大きく違うのは、隠核が快楽をもたらすのに対し俺のモノは苦痛だけをもたらす。


 最悪な事に、その時受けていた仕事の関係上、ずっと立ちっぱなしの歩きっぱなしで休む暇もない。
歩くたびにその「モノ」が下着などと擦れ痛みを発し、幾ら指で「戻ってろ!」と押し戻しても効果は薄い。
あまり、痛みがあって仕事に支障を来しても困るので、ネットで色々と検索してみると、俺の症状はてっきり脱肛と思っていたが、実際には外痔核というものらしい。
やはり冷えや姿勢などと言う事が要因としてあって、悪化するとまた別の痔を引き起こしかねない、と言う。


 流石に冷や汗をかき、手術も視野にいれた上でまずは市販の薬を恥を忍んで買い求める。
軟膏で、幹部に塗布する他に、実際に肛門の中に軟膏を注入し、内部の腫れも直す必要があるようだ。
仕事の合間合間を縫ってトイレに行き、軟膏を塗り患部を押し戻す。


 幸いにして、薬が効き腫れも痛みもそれ以上悪化する事は無く、仕事を終えてから休みの間に痔は一気に終息へと向かっていった。
現在もすこし、患部の腫れを認める事は出来るが痛みは無く、きちんと治るのもあと僅かであるだろう。
確かに、「痔」というだけで格好悪いものがあって、正直これを書くべきかどうかも迷いはしたのだが、俺が突然なったように誰にでも突然なる可能性があり、そしてそうなった時に重要なのは、恥を感じる事ではなく、的確に、迅速に対処すべき事である事だ。
それを心の片隅にでも、各人は留めておいて欲しい。