悪事千里を走る

 暁なんざ覚えたくないのに、などと眠い目をこすりながら朝の電車に乗り込んでみれば、暫くして車両故障のアナウンス。
電車は駅で止まった侭となり、30分以上の遅れが見込まれると放送が入る。


 取り敢えず会社にその旨を連絡しようと降りた所で、タイミング良く俺を置いて走り去る電車。
こんなことなら寝坊しておけば良かったな、などと思いつも改めて会社に連絡を入れる。


 幸か不幸か、次の電車はさほど遅れては居なかったが、どう足掻いた所で遅刻は確定。
ならば、ゆっくり行ったれと会社の最寄り駅に着いてから趣にドトールに入り珈琲を頼む。


 雑誌片手に寛ぐ事30分。そろそろ行くかなと席を立ち、バスに乗り込んで会社に向かう。
連絡は行ってる筈だし堂々と「おはようございます」と挨拶すれば。


 「珈琲旨かったか?」と係長。
ウヒ。バレてるよ。
どんなルートかは分からないけど、悪い事は案外バレてしまうものね…