SARS雑考と吉田秋生の「YASHA」


 俺のホームページには、所謂「アクセス解析」というものを仕込んである。
これはアクセスしてきた人のプロバイダが何か、とか、何回くらい来たか、とか、あと面白いのは検索エンジンで検索してやって来た場合の検索単語は何か、とかも分かるもの。
ま、個人情報の特定が目的ではないから分かる事つったって些細なものではあるのだけど、それでも色々と重宝している。


 この、アクセス解析の機能の、検索単語表示というので最近とみに多いのが、「SARS」と「YASHA」「吉田秋生」という単語の組み合わせだ。ここ数日で総閲覧数の1割は越えているだろう。
先月中旬*1に書いたものだが、特に大した事を書いた訳でも無い。なんか似てるよな、程度の事を書いただけ。
にも関わらず、これだけの人が来ると言うのは何か理由があるのだろうか。


 あの頃はまだ情報も少なく、故に吉田秋生が「YASHA」作中で書いたようにバイオハザードの可能性を俺は示唆したのだったが、現在では或る程度感染ルートや原因も特定されつつある。
WHOの公表によれば、どうやら中国で野生のハクビシンか何かを食べた人が最初の感染者の様だ。
だが、これが空気感染で広がるものなのか、それとも咳やくしゃみなどで飛ぶ飛沫感染によるものなのか、断定はまだされていない。まあでも多分、空気感染じゃないだろうけど。


 その根拠は、空気感染であるならもっと爆発的に感染者が広がってもおかしくないと思うから。
あれだけ感染力が強いと言われて居りながら、全世界的な広がりを見せてはいない。
それは空気感染の場合なら、空気に漂っても大して長生きせず、故に感染半径がなかなか広がらないか、或いは空気感染では無いが長生きするタイプで、じっくりと感染半径を広げていくタイプかと云う事を示している。気がする。
勿論、感染が広がっていないのは各国の水際での防御策も大きいだろうが。


 興味深いのは野生のハクビシンを食って感染したと言う最初の感染者に関するレポートだ。
HIVエイズウイルス)がミドリザルからヒトへと感染したと云われており、またエボラ出血熱が恐らくチンパンジーからの感染であろうと云われて居るように、SARSもまた野生動物からのもの。
これは、人間が最早、野生動物には戻れなく為ったという事も示唆している。


 普通、肉食の野生動物は他の野生動物を食う。
だが、人間はそれが許されなくなってしまっている。他の野生動物を食うと死ぬ恐れが出てきたからだ。
生物としての抵抗力が低下したのか、それとも他の要因があるのかは知らん。だが、確実に、安全に生き延びる為には飼い慣らした動物を食う事が近道になってしまっている。
否、狂牛病ってのもある訳だし、それすらも安全と言い難い。
まあ、ウイルスが特殊な進化を遂げるのはいつもの事だし、そして、その抗体を人間は時間を掛けて作り上げて行くより他はない。
自然発生的なものである以上、その宿主たる人間を滅ぼす事もないだろうし、また、自然には必ず天敵というものや抗体が存在する。


 なんだか、考えると神の見えざる手によって、増えすぎた人間の口減らしとしてこうした病気が発生する、そんな気がしてくる。
だが、先述したように自然発生的なものであるなら、全滅には至らないだろう。
一番怖いのは、人間の手で作られたもの。
ヒトを滅ぼす可能性が一番高いのは、他ならぬヒト。俺はそう思っている。
そして、このSARSが本当はバイオハザードであったなら、人間が滅ぶ可能性も否定は出来ない。
でも、それは人間達が招いた業のようなものであるだろう。
尤も、俺としてはそんな他人の招いた業で死にたくなんかは無いんだがな。


 追記:老婆心ながら、Googleで検索してこちらに来られた方は、「キャッシュ表示」で見ると良いですよ。

*1:こちらの日記では見られないから、はてなダイアリーに直で来てる方は一度、下のHP入り口から入り直して過去ログを参照して頂ければ有難い