一言で言えば、「ぐずぐず」

 夜に降った雨の所為で、此処の所町中に漂っていた腐臭も漸く一段落したようだ。
どんよりと曇った空を眺めながら一駅分歩き、コンビニで雑誌を買いそのまま最寄りの駅に向かう道すがら。
海に繋がる川沿いを歩きながら、ふと欠伸をしたくなり深呼吸したら、どうやらその辺りにはまだ臭いが残っていた様で、思いっきり吸い込んでしまい軽く嘔吐する。
こんな一日の始まり。


 スロ屋に到着し、良い台を探すも妥協出来るようなものしか空いていない。
まあ、そこから吹く事もあるし、と単なる希望的観測だけで打ち始めるも、単なる希望だけで勝てるなら博打は博打では無くなる訳で。
案の定、あっさりと金を飲み込まれる。


 良い台が無ければ時間を置いて見て回る、と言うのは俺が良くやる事。
うろうろと、しかしシヴィアに台の上にあるカウンターを眺めながら彷徨していたら、2台悪くないものを発見した。データが少ないから断言は出来ないが、ほぼ高設定だろうと判断し即座に移動。
現金投資を始めたものの、ああ、夏目漱石がどんどん消えていく。
しかしこれは悪くない、自分の判断を信じ行くしかないと漱石部隊の投入を続行。
漸く大当たりを引いた所で、もう一台俺が目星を付けていた方も、別の人が座り大当たりを引いていた。
肝心なのは、この後の伸びだ。


 双方とも一進一退と言った状況の最中、夜に差し掛かった所で「設定5確定」という札が刺さった。俺の台にも、それからもう一台の方にも。所謂高設定の証。
−設定5。種類にもよるが、最近の台なら10万勝ちが普通に狙える。俺の判断は間違ってなかった。
さあ、そうと分かればブン廻すぞ、と意気込んだは良いが。
勢いに乗り、ボーナスの連打でもの凄い勢いでメダルを増やしていくのを尻目に、俺は何故に現金投資を再開させているのだろう。しかも札が刺さった以上、退くに退けない。
結果、同じ機種の、同じ設定を同じ時間打ちながら片方は10万勝ちが視野に、片方は惨敗。
種銭が尽きたのでいつもよりかなり早く家路に就く。ま、博打だからなと呟きながら。


 「ワシャもう帰る!」と友人に悔し紛れにメールを打っていて気が付いたが、俺の携帯のストラップに付けてある十字架が無くなっていた。気に入っていたのに。
煙草を付けようとしたらZIPPOの石が切れた。火花さえ散りゃしねえ。


 極めつけは、その友人から電話が掛かってきたので缶コーヒーを飲みながら話していたら。
地面に少しの間置いて居た缶コーヒーにナメクジが登って来て居た。
それに気が付かず、思いっきり手で潰した。厭な感触。思わず声を上げてしまった。
飲む前に気が付いて良かったと言えば良かったが、厭なものは厭。
立ちっぱなしで疲れたので腰を下ろせそうな所を探そうと、コンクリートの階段をふと見れば。
湿気に誘われナメクジが大漁。地面はミミズがやたらと這い出ているし。また悲鳴を上げる俺。


 な。「ぐずぐず」と云う言葉以外に何がある。
全く、全く、全く以てFuck'inだぜ!


 明日は明日の風が吹く
今日は昨日の続きじゃないし、明日は今日の延長では無い。
こんな日も、あるさ。無い方が良いけど。