犯罪者テレビ

 昨日から引き続き性犯罪の事を考えていたのだが。
手元の資料が少なすぎるのと、思ったより厄介な問題なので気軽にホイホイ書く訳にも行かず、ちょっと難儀している。
なので、無関係ではないが、ちょっと脱線して話をしようかと思う。


 良く、テレビの特集などで「特捜!犯罪列島24時!」とか言う感じの番組がある。
未解決の事件を追ってみたり、暴走族の一斉検挙シーンを放映したりする、アレだ。
ああ言った番組では必ず、犯罪者にはモザイクをかけて放映している。
でも、よく考えると被害者の方にはモザイクかけないんだよね。
人権を考慮して、と言う事ならまず被害者にこそ人権があるべきなのに、不思議と咎人に人権を与える訳だ。


 アメリカでも同様の番組がある。
大体1時間くらいの枠で、指名手配されている人の特徴や顔写真などを放映し、視聴者から情報を公募する。
実際に、その番組の影響で何人もの犯罪者が検挙されていると言う実績もある。
こう言うの、日本でもやってみたらどうかな、と思った。


 良く、駅などで「指名手配犯人逮捕にご協力を!」と、顔写真の入ったポスターなどが貼られているけど、目を向けている人は少ない様に見受けられる。
精々、子供が鼻の穴に画鋲指したりしていたずらしている程度。
こんなもんだから、逮捕に至るのもあまり期待出来ないだろう。
だが、警視庁協力の下に毎週数人の指名手配犯人をテレビで紹介して情報を公募すれば、少なくとも今よりは検挙率が上がるんじゃないかしらん。
また、もし冤罪であった場合にも、その番組を利用して「この事件で被疑者とされた某さんは、実は間違いでした。心よりお詫びすると共に、視聴者の方々に彼の潔白を証明致します。」などと説明すれば、冤罪で逮捕された後も犯罪者扱いされて困る、と言う事が若干は減るんじゃないだろうか。


 この、冤罪によって社会的信用を喪失すると言う事例は、松本サリン事件で実際にあった事だ。
最初有力な被疑者とされていた方が実は無関係であったにもかかわらず、マスコミはその事を殆ど公表しなかった。
気になる方は「冤罪」という映画をご覧頂ければよく分かるだろう。
そう言ったマスコミによる悪影響を、マスコミ自信の手で払拭出来るんじゃないか。


 また、ミーガン法という法律がある。
ミーガン法とは、1994年に、当時7歳の少女、ミーガン・カンカが、近所に住む性犯罪常習者に殺害されたことがきっかけになってできた法律である。
ミーガンが、友人の家に遊びに行ったものの、不在だったので帰る途中にこの様子をずっと見ていた犯人が、自分の家に小犬がいるのだが見に来ないかと誘い、暴行して殺害した。
この後、犯人が捕まり、性犯罪の常習者であることが分かった段階で、ミーガンの親が、そういう事実を知っていたならば、決して、子どもを一人で外出などさせなかった。性犯罪常習者が住んでいるのならば、地域にその事実を知らせる義務が当局にはある、という主張をして、それを法制定まで持って行ったのが由来である。
以降、性犯罪者・幼児犯罪者などが、ある地域に住むことになったときに、その地域の当局は、住民にその事実を知らせる、という事になった。
これは、イギリスなどでも実施されており、アメリカは、昨年、州単位でのばらつきのある状態から、連邦法として、アメリカ全土で実施することにした。


 勿論、この法律には反対意見もまたある。
一番多いのが、改心した犯罪者の社会復帰を妨げるものになる、と言う意見である。
確かにそれはその通りだ。だから、軽微な初犯から、幾度にも渡る逮捕歴を持つものまでを幾つかのグレードに分け、その等級によって近隣への通知を行うかどうか決定するのが良いと思う。
そして、このシステムを先程に述べた番組に組み込むのだ。
そう、「この度、某地域に重度性犯罪者の某が出所する予定です。」と。
その彼が引っ越す時には、行政が新たにその地域に通知さえしておけばいい。
統計上、性犯罪者は再犯を起こす確率が75%にも登っており、他の犯罪と同一視するのは個人的に些か問題があるように思われる。
また、人権上の問題についても、性犯罪と言う他者の人権を蹂躙する行為を行う者が、己の人権を要求するなどと言うのは余りに図々しい事だと思うのだ。
ハムラビ法典ではないけれど、他人の人権を奪ったのであれば、その犯罪者の人権も与奪してしまったって構わないのじゃ無いだろうか。
まあ、これは些か極論ではあるだろうけど。


 加害者の人権と被害者の人権という関係の問題は、今も尚、あまり議論されない。
被害者学という学問だって、俺個人でちょっとやったものの、法学部を構える大学にも決して多くは無い位だ。
それは一つには、「人権」という言葉が持つ様々な重みや圧力がある事を匂わせている。
だが、やっぱり最低でも、被害者にこそまず人権が考慮されて然るべき事で、加害者は二の次だろう。
それを位置づける為にも、俺の提唱する犯罪者テレビは良い案だと思うんだが。