プレゼントキャッチにカウンター

「Wacremaさんですね?!」
午前中に鳴った電話を取ったら、唐突にこう言われた。
こちとら、昨日は新台朝から打ちに行って大敗して疲れてるんじゃあ!、と、眠りを妨げられた時点で既に苛々としているのだが、それを滲ませぬように「そうですが」と応える。
「実はですね、貴方にすてきなプレゼントが当たりました!」
「はあ」
俺は基本的にプレゼントに応募するようなマメな性格ではない。
どうせ当たる訳でも無し、個人情報晒すだけだと、自分の面倒くさがりを言い訳している。まあ尤も、応募しない事には絶対に当たる筈も無く、どうせ外れるさと決めつける事自体はあまり良くない事ではあるのだが。


 だが、そう言えばちょっと前に気まぐれで一つだけ、プレゼントに応募したのを思い出した。
地元のFM局の番組でBMWの新しい車をプレゼントしているというので、応募してみたんだった。
「え、プレゼントってBMWですか?」
ちょっとだけ興奮を覚えつつ、相手の若いであろう女性に問う。
「いえ、BMWではないんですが…」
…あ、そう。
急にだらけモード突入。


 「実はですね、Wacremaさんがこの度すてきなプレゼントに当選しまして、そのお知らせに…。」
俺が応募したプレゼントでは無い、となると、後はキャッチセールスの可能性が高い。
物で釣って呼び出して、高額な商品を買うようにし向けるアレだ。その手には乗らん。
「そのプレゼントは素敵なんですか?」
「ええ、素敵なプレゼントです!」
良くもまあ、ぬけぬけと仰るわ。
「そうですか、そんなら、おねえさん」
「ええとですね、そのプレゼントを取りに来て頂きたいんですがあ」
ほれ来た。相手の若い女性は俺がすっかり乗り気と見て、マニュアル通りの対応。


 「いや、そうじゃなくって」
「はい?」
「そのプレゼントは素敵なんですよね」
「ええ、素敵なプレゼントです!」
「そんなら、それ、おねえさんにあげる」
「…え?」
「あんたにあげる。素敵なプレゼントをプレゼント。」
「いえ、あの…」
「嬉しいでしょ、素敵なものだもん」
「あ、あの…」
こういう対応は余り無いだろう。予想外の事に狼狽しておるわ。
バッカだなー。「要らないと言われた時の対応」と同じで良いのに。


 暫し沈黙したり、あわあわとした対応を見せた後にどうやらその事に漸く気が付いたようだ。
「い、いえ、あのですね、Wacremaさんが当選なさったので…。そちらに頂いて貰わないとこちらとしても…」
「ええ、だから書類上は俺に送った事にしておいて、あんたがそれ持って帰って?」
「で、ですから…」
「それとも、何?本当は貰っても困るようなものなの?」
「いえ、そうじゃありませんけど…」
昨日の新装にも関わらず大敗、と言う憂さを晴らすように話す俺。ちょっといじめすぎてるかしらん。


 しょうがないので助け船を出してやる事にする。
「俺にどうしても渡さないと駄目なんです?」
「ええ、こちらの決まりとして…」
「そうですか、ならそれ、此方に郵送してください」
「あの、取りに来て頂く事になってるんです」
「めんどくさいし、行く暇無いんですよ」
「ちょっとでもお時間頂けませんか?」
「ダリい」
「…分かりました。なら、係の者がそちらにお伺いしますので…」
「いや、人は要らんから。ブツだけ寄越して。もう一度言いますね。人は要らんから」
「…」
「送るの面倒ならおねえさんにプレゼント」
「わ、わかりました、郵送致しますので…」
「すんませんね、お願いします」
「それでは失礼致します…」


 斯く言う訳で、俺はキャッチに引っかかる事無く、何か貰えると言う事になった。
まあ、恐らく郵送などされて来ないだろうが。
来ても、変な穴あき包丁とか、そんなもんだろうな。
もし、こう言うキャッチみたいなのが掛かってきた時には、この手法は結構使えるかも知れない。
変な欲を出すからとっ捕まる訳で。
覚えの無いものが貰えるなんて甘い事は、そうそうは無い。
君子危うきに近寄らず、とな。


追記:昨日打ったのはネオマジックパルサーという台。
音も演出も綺麗なの。リンク先のチャンスアクションて所辺りの映像見て貰えれば分かるだろうけど。子カエルの絵も可愛いし。でも渋いね。
多分キングパルサーの方が今の所は勝ちやすい。低設定での破壊力もあるし。
それ以上に、絵も音も良くなったけど、「来た?」って言うアツさが弱くなった。
何だか、今のプレステ2のゲームみたいに絵も音も凄いけど、肝心のゲーム性が疎かになっている現状そのものと被る気がする。
本当は色々とこの台について専門的な考察もしたんだけど、需要無いだろう故に遠慮しておく。