血を採られたり、看護婦にときめいたり

 厳密には昨日の日記であるのだが、昨日は急遽差し替えして「吉宗」の楽しさを滔々と語ったので改めて今日に。


 実はここ2,3週間ほど、胃に違和感を抱えていた。
最初は特に気にして居なかったのだけど、なんだか常に胃が軽く痛いような状況になり、訳も分からずこう言うのを抱えているのは良くないので病院に赴いた。


 待合室で待たされる間に若い看護婦さん達をウオッチングする事暫し、漸く自分の名前が呼ばれ診察室に入る。
自分の具合や痛む所を先生に伝え、その後に触診。
この辺りだよねえ、と押された所が余りに痛く、もんぐ!と訳の分からない悲鳴を上げる。
「胃というのはね、このあたりなんですよ」と鳩尾(みぞおち)の辺りを押されるが、痛みはない。
「はい、まず服を着てください」と指示され、改めて椅子に座り話を伺う。
「貴方が痛みを訴えてられるのは、十二指腸、または肝臓かな」
え。じうにしちょう?かんぞう?胃じゃないの?


 ま、胃だろうなと思っていた所が、そんな十二指腸だの肝臓だのと言う臓器の事は全く以て考えていなかったので、流石の俺も冷や汗が背を伝う。
あまりのショックに「肝臓はいかんぞう!」などとどうしようもない事を考えて仕舞う程。
誰か俺を殴れ!でも腹はやめな、顔にしな、顔に(おなか痛いから)。


 しかし、十二指腸はそもそも何なのか分からんからさておき、肝臓は酒も飲まないしストレスも無いから関係ないのでは、と、内心生まれたての子馬の様にブルブル震えながら先生に問う。
「いや、ウイルス性のものとか、肝炎の事も考えられますからねえ。恐らく十二指腸ではあると思いますが」
では十二指腸に異変が起こる起因は、例えばどんなものが?と問うと、
「うん、これもストレスとかが原因かな。恐らく潰瘍が出来ているんだと思います。詳しい検査してみないと断定は出来ませんが」
十二指腸潰瘍…。言葉面としてすごい重病そうな感じがして結構ブルーになる。


 「ま、まず検査しますので、すぐ採血だけして、胃カメラと超音波は再来週に行います」
胃カメラ。映画監督風に言うと胃キャメラ。「Action!」という声で撮影開始。などとまたショックの所為で下らない事を考えつく。
そんな俺の内心を知ってか知らずか(多分知らない)、看護婦さんがではこちらにどうぞ、とすぐに採血を促した。
右腕を出し、ゴムで縛られた後に浮き出た血管を看護婦さんが優しくなぞる。
これはこれで良い。ちょっとドキドキする。あー、これがストックホルム症候群て奴かー、と勝手な勘違いをした矢先、太めの注射器を用意される。
思わず、あー、注射いやー、と声に出したら苦笑いされた。
ときめきの5秒後にハートブレイク夏物語。


 この採血がまた、結構な量を取った。
俺はてっきりちょろっと取るだけかと思っていたのだが、ああ、血を採られてると分かる程にちうちう吸いやがる。
かつて、献血した際に俺一人だけ貧血を起こした(しかもそれが普通の事だと思っていた)と言うトラウマがあるために、あまり採られると困るんですけど…と、ちょっと不安になる。
結局、太めの注射半分ちょい採った所で、再び診察室に戻され、検査の予定の打ち合わせと薬の事を話して終了。


 そしてこの後は件の「吉宗」の話に続くのだが、打っている最中に血を抜かれたせいか右腕にしびれを感じながらも、内心2週間後に控えた検査で不安いっぱい。
まあ、大当たり中の7揃えでその不安なんか軽く吹っ飛んでしまったのではあるが。
そう言った意味では、脳内麻薬は偉大である。
しかし、俺は2週間後の検査の結果どうなるんだろう。手術、入院とかもあるのかしら。
いやだなあ、吉宗打てないじゃないか。


追記 もし入院したらお見舞いプリーズ。果物とかより現金頂戴、現金。