夏休みの終わり

 夏休みが終わった。
もう数年も前に学生というのを卒業したが、この「夏休みが終わる」という言葉は未だに、何かこう、もの寂しい様な、或いは現実に帰らなければ成らない様な感じの印象を抱いている。


 今はまだ、残暑が半端無く厳しいので、街の女の子達も薄着で目に麗しいが、次第にそれも、長袖になり、厚着になりと、なって行く事だろう。
夏というのは開放的な季節、と良く云われるものだが、今年の夏も大してその恩恵を受けず、いつもと同じように過ぎ去って行く様だ。
まあ別に、歌に出てくるような真夏のアヴァンチュール等を期待している訳ではないし、またそう言う行動に出ている訳でもないから恩恵など在る由も無いのだが。


 ただ、夏休みが終わるのは俺にとって悪い事だけでもない。
スロ屋に増える、童貞ヒゲもロクに剃って無いような鬱陶しい自称18歳達がこぞって消えるのは、若干の穏やかさを取り戻させる。
身の程も弁えず、一人では何も出来ないギャーギャーと騒ぎ喚く青二才の存在は、勝っている時でさえ神経に苛つきというノイズの様な物を走らせる。況や負けている時をや。
そう言うのが少しでも消えて呉れる事は、有難い事でも亦、ある。


 夏休みは終わった。
社会人も、学生も、皆日常へと回帰して行かざるを得ない。
ならば、俺の回帰すべき日常は果たして何処か。
否、俺だけに限らず、総ての人の、回帰すべき本当の日常とは果たして何処か。


 どうやら、夏の終わり、秋の始まりというものは、時にしょうもない事を考えさせるものらしい。
こんな事を考えた所で、何がどう、という訳でも無いのだけれど。


追記 もう、あと一度くらいは海行きたかったなあ。