祭、前夜

某大型掲示板で、横浜のスロ屋のイベントの先頭に並ぼう、と言う呼びかけを偶々、見つけた。
何でもこのイベント、設定456が7割と、かなりの確率で大勝できるそうだ。


そもそも、俺は並んで朝から打つなんて事も少なく、まして前日から並ぶなんて気違い地味た真似。
普通なら良くやるよな、と横目でちらりとする程度だが、最近の俺を負け癖を改め、そして大幅に凹んだ収支をプラスに持って行きたいと言う切なる願いに加え、偶には大勢で打ってみたいからである。
何だ、俺も案外、調子が良いと苦笑いが漏れる。


実際に店の前に着き、打ち合わせした人達と挨拶を交わして並びの列に加わる。
妙な連帯感からか、打ち解けるのは早い。
話を色々と聞いたり、明日の予想を立てたりなどしている内に、何時しか店は閉まり、人通りも絶え始める。


そんな中、ちょっとしたトラブルが起こった。
常連、ないしは一部の店員から予め良い設定を聞き、その台を打って沢山出す事で店員にバックマージンを帰す「サクラ」とか「打ち子」と呼ばれる人達が、難癖を付けて来たのだ。


 あからさまに柄の悪い感じの言い草に、こちらも切れそうになる者が出るが、何とか押し止め平静を保たせる。
まあ、彼らも飯の種ではあるが、公正さでは俺達に分がある。
これを書いている時点では俺達に危害は加えられて無いが、この先正直不安は残る。
だが、人数はこちらが圧倒的に有利でもある。
しかし何よりも、ここでトラブルを起こすのは得策ではない。


まあ、俺の一番の懸念は明日、設定6を掴み、そして見事大勝を収める事が出来るかだ。
「みんなのツキをオラに分けてくれ!」
本当に、そう言いたい心境である。


開店迄、あと7時間。