選挙公約とチラシ

 選挙が近づいてくると政党はマニフェスト*1を立案し、そしてそれと共に各地域の立候補者の写真やプロフィールなどを載せた紙が、郵便受けに舞い込む様になる。
ま、取り敢えず自民党はどれだけ人気を集められるかという事に焦点を当てているようだし、他の政党はそれにカウンターを当てるようにマニフェストを制作しているようだ。


 まだ、時期が時期故に舞い込むチラシの数も多くはなく、政党によってはこれから最終案を練ると言う所もあるだろう。
そんな中で家に舞い込んできたチラシの一つ。
小規模政党、というか、なんかサークルみたいな、というか。
とにかく、そんな感じの所のチラシの公約が。
「テロと戦争の無い世界を作る為に!」


 俺はどちらかと言うとペシミストだし、シニカルだし。
世の中舐めて、且つ斜に構えて見ている傾向が強い。でもそれだから、と言う事ではないだろう。
このチラシに対して、ある種の怒りのようなものさえ感じ取ったのは。


 戦争やテロを根絶する、と言う意気込み自体はとても立派で、且つ目指して行かねばならない事だろう。
でもね。そんなもの無くなる筈無いんですよ。
戦争やテロを根絶する為には、何故それらが起こるのか、と言う徹底的な究明と防護策が必要だと思うけど、かといって幾ら頑張ってみても、テキサス出のコンプレックス丸出しの田舎臭い男が戦争する、と言ったら始まっちゃうんですよ。
それがまた、憎悪の連鎖を呼び、そしてテロを生み出すんですよ。


 また、何時だったか覚えてないけど、テロネットワークの事を記述した事が在ったと思う。
テロリズムは最早、憎悪や暴力の連鎖というものだけには留まらず、貧しい国が、或いは貧しい者が、外貨を稼ぐ手段としてそれに荷担するケースが非常に増えている。
テロそのものを俺は容認しないし、それに向かう意志自体も俺は尊重などしたくは無いのだけど、それでも、大義や或いは憎悪、復讐、そう言ったものの為に荷担する気持ち自体は分からないでもない。
しかし、現実として、そんな事よりも金の為にテロに荷担する者が増えていると言うものがあるのだ。そう、それは丁度、日本国内に金を稼ぐ目的で犯罪をしにやって来る不良外国人と構造は同じかも知れない。


 俺は、何度も言うけれど、テロや戦争なんてものは嫌いだし、あってはならない物だと思う。
けれど、人類史上、それが絶えた例は無く、故に、如何にして市民レベルで、それら暴力を避けて行くかと言う事が重要だと思う。
国政レベルで行われる事と、市民レベルで行われる事は同じではない。
だからこそ、俺達が真摯に捉えるべき事ではあるのだ。


 
 そう言った事を考えずに、只綺麗事として「戦争のない世界を」「テロの無い世界を」だのとにこやかに記述されても、ねえ。
ならばお前はどれだけの事が分かり、そしてどれだけの事をしようと言うのだ、と詰問したくもなるわ。
それに何だか、胡散臭い匂いや何処か、お気楽というか頭が弱いと言うか、そんな印象も抱いてしまう。
俺がこうして思うのは、やっぱり俺がひねくれ者であるからだろうか。