警察の信用低下と些細な提案

 「23年前に自殺とされた事が、本当は殺人だった」
そんな安いミステリーのような事が実際に起きていた。詳しくはここ参照


 まあ、軽率なマスコミの警察批判に乗る積もりも無いのだけど、こういうの見ると本当、何だかなあと言うか、やるせねえと言うか、不信というよりはもっと深い、軽蔑や諦観のようなものが芽生えてくる。
勿論、現場で毎日真面目に働いている警察官の方々の方が多いだろうから、総てをひとくくりにして語ってはならないが。
恐らく、この件の場合は、警察発表でもあった通り別の大きな犯罪捜査に手間取っていて、小さな事件−といっても、それは警察から見ればの話で、一般から見れば殺人という大きな事件に変わりは無いのだが−それに割く人員が足りなかったであろう事や、丁度3月で、人事異動の時期と重なる為にあまり面倒な事を抱えたくない、と言う心理が上層部の方にあったのでは無いだろうか。


 昨今言われているのが、警察の人手不足という事だ。
警察の威信低下、連続する不祥事、犯罪発生率の上昇と検挙率の低下もその所為だとさえ言われている。尤も、正直それって言い訳だろ、とも思うのだが。
ただ、激務であろう事は俺も簡単に察しは付き、実際に、交番を見ていつも不在だったり、俺自身が事情聴取に協力したりしていて「大変だよな」と思わずには居られない事もあった。
だからこそ、お巡りさん一人一人に対しては大変だろうけど頑張ってね、と労いたいような心境でさえあるのだ。警察権力自体はどうにも好かないのだが。


 勿論、公権力の腐敗なんてものは構造的なものであって、そして避けられない運命ではあるだろう。
まして、監査するような第三者機関や競争相手が居ない場合は、暴走しやすい傾向にある。
そう言う所を決して無視してはならんだろう。
マスコミの書く様な批判は、確かに的を射ているのかも知れないが、唯、批判し叩くだけでは何ともならない。
そして実際に、そう言ったマスコミが何か提案などをするかと言えば、決してそうでもない。
大概は、「困ったものですなあ」って感じの感想で終わりだ。


 だから、出来るかどうか、するかどうかはまた別の話だけど、単なるマスコミと一線を画す為に、幾つかの提案をしてみたいと思う。
ここでは一番よく言われ、そして問題となっているらしい人員の問題について考えてみる。


 あのさ。徴兵ってあるじゃん。あれの警察バージョンどう?
成人したものは1年くらい、警察の下働きしなきゃならんの。バイトみたいな感覚で。
人出が無いと言うのは、要するに警察官に成る奴が足りないって事なんだから、足りないのなら増やしてしまえば良いじゃない。パンが無ければお菓子を食べれば良いじゃない。


 江戸時代では、奉行所−与力−同心−小者(岡っ引き、目明かし、御用聞き等とも言われた)と言う様に警察は組織されていたが、その小者みたいな感覚で使う。
実際に小者は釈放された犯罪者にやられていたと言う事もあり、雇用対策と犯罪者コネクションの利用という複数の理を得ていた。
それを、国民皆が一度はやらなければならないと言う制度にする。
犯罪が起こった時などの聞き込みなどは、マニュアルが或る程度出来ているだろうし、素人に毛が生えたレベルでも充分に行えるだろう。その裏で、本職の警察官は経験や勘の必要とされるような事に打ち込める訳だし、他にも純粋に人手が欲しい時などに気軽に使う事が出来る。
手が空いている時などは、そのまま街の見回りなどに行かせれば良いだけで、これだけでも街の治安維持には充分に機能する事だと思う。
予算は、それこそ税金投与して然るべき。
良く分からないような用途や、或いは単なる無駄遣いとしか思えないような用途に公金注入するより確実に、我々の為になる。


 もう一つ、別の案は競争相手となる私営警察を創設する。
正直、これはヤクザと大して変わらないとも自分で思うのだけども、民間の非営利団体として、都市部などを手始めに置いていく。
近隣数キロ半径の住民、及び店のオーナーなどから治安維持費として、団体を維持するのに最低の額を貰い、トラブルがあったらそれを解決する。場合によっては、更に解決料を徴収しても良いかも知れない。
但し、それは極めて明朗にする必要がある。


 実際、繁華街などでは今、「ガーディアン・エンジェルス」という自警団が見回りをしていたりもするのだが、彼らを見ていて正直、失礼だが心許ない印象も抱いた。
日々、格闘などの訓練をきちんと行い、かつ、被害者に対する配慮の精神を養えるような組織である必要がある。
ヤクザがシノギに使う位だからビジネスにはなるとは思うが、如何せん、警察に邪魔されかねないのが目下の懸念だ。
塾業界が育ってくるに従って、文部省が塾を敵視した事と同じように、良き競争相手たるべき警察に敵視される可能性は十二分にある。
現実に、他県や、或いは隣合う街同士で敵愾心を持ってしまう程だし。そこをどうするべきなのか、と言う問題はある。


 まあ、実際に行えないのなら何を言っても一緒、と言う事ではあるのだけど、でも唯、批判したり悪口を言うだけよりも建設的ではあるかな、と。
故に、上記二案を考えてはみたが。
どうよ、これ。
まあ、一番良いのは、警察自体がしっかりしてくれる事なんだけどね。
期待ばかりしててもしょうがないし。かと言って夢物語ばかり紡ぐ訳にも行かないし。
困ったものだね、本当に。


追記:なんか前回の「モテ談義」、結構な数の人が見に来た。
やっぱり、身近で切実な事だと実感せざるを得ない。