「ゆず」系を歌うカラーギャング風バンド

 この連休は、横浜では様々な音楽フェスが行われているようで、桜木町や関内をはじめとする幾つかの場所でストリートのライブが行われていた。
特に、ジャズ系の演奏が多くて、ちょろっとジャズ好きな俺としても嬉しく、街の、喫茶店の外に出してあるテーブルに席を取り、珈琲と煙草を片手に様々な演奏が楽しめた。


 そんな中で、全員金髪を派手に立ち上げ、服装はまさに色違い愚連隊(カラーギャング)、と言った風情のバンドが準備をし始めた。そうだな、気志團よりも都会的なワル、って感じだろうか。
メロコアとかのパンク系か、ハードロックか、そんな感じの曲を演奏するんだろうな、と、一昔前のバンドブームの時の事を思い出したりもしながら珈琲を口に流し込もうとした矢先に、演奏が始まった。


 「夢をあきらめないで〜」(爽やかな旋律に乗せ、甲高い声で)
聞いてる俺、思わず「えー!?」


 いや、別にどんな格好した人が演奏しようと構わないんですよ。と、言うよりも知った事じゃないんですよ。
けどその。
如何にも「俺達って反社会的」って感じの人らが爽やかに夢とか言っちゃってると、何だかねえ。
実際、歌は上手いと思ったから尚更そのギャップに戸惑って。
そうだな、(たと)えて言うならトンカツにタルタルソース掛けて食う感じか。
不味い訳じゃない、けど何か変。


 演奏の間、ずっと続いた消化不良というか、食い合わせが悪いものを食った感じのような印象をずっと抱きながら珈琲を飲んでいた。
彼らの演奏が終わり、楽器を抱えながら丁度、俺の前を通り過ぎていった。
うむ。やっぱ何か違う。
少なくとも、ゆず系とかと金のチェーンネックレスは絶対に合わない。
俺の価値観、間違ってねえよな?