Winny使用者の逮捕と著作権とかについて考えてみた

 Winnyっつうファイル交換ソフトの製作者が事情聴取されたのと、利用者が逮捕された事は昨日既に話した。ソース>>これな。
良く使ってたって人は兎も角、名前は知ってたけどどういうものか分からない人も居るだろうから仕組みをちょっと説明する。
今までのファイル交換というのは、例えばメッセンジャーに付いている「ファイルの送信」の様な感じで、相手と一対一でやりとりしていた。この相手と一対一という考え方は、P2P(ピア・ツー・ピア)と呼ばれ、重要なットワークの考え方である。
WWW(ワールド・ワイド・ウェブ)の根本的な意義は、情報の交換の成立にある。PCなり、携帯なりとサーバーや個人が接続され、さらに其処からまた別のサーバーや個人に接続され、と、P2Pの連鎖によって様々な情報を共有するものだ。
この日記自体にしたって、俺のPCからサーバーに接続、保存されたものを共有しているに他ならない。


 Winnyの場合、例えばメッセンジャーを使ってファイルの送信をするようなものとはちょっと違う。完全に一対一でやりとりする訳ではないのだ。
分かりやすく喩えると、学校があるとする。(ネットワーク全体)
その学校の中の一クラス(Winnyを使ってコミュニティを形成している集団)の中の、共通の趣味を持った仲間達の間で、授業中、今週のジャンプ貸してくれって言ったとする。今は授業中だし席が離れてるから丸ごと手渡し出来ない。
じゃあ、俺は40ページ分、僕は70ページ分、私は50ページ分を渡すから、と、断片化されたジャンプ(キャッシュ化されたファイル)を「悪いけどこれ、あいつの所まで送って」と、途中を挟む席の人達を仲介して渡して貰う。
で、一冊分にまとまったら読めるようになる。こんな仕組み。勿論、自分が仲介して誰かに何かを送る事もある。
ただ、実際には途中の席の仲介する人にもファイルが残ってしまう。(屑キャッシュと呼ばれる)


 何故こんな面倒な事をしているかと言えば、匿名性を高める為だと言われている。
途中に関係のない第三者を挟む事で、一対一で直接やりとりするよりも足がつきにくくさせていた訳だ。
京都府警は独自の方法を開発し、これらを浮き彫りにしたらしい。
ここで気になるのは、その独自の方法とやらだ。
匿名性が高いネットワークを調べる上で、可能性ではあるがハッキングをしたり、或いは通信回線の傍受を行ったのではないか。
警察は、そう言う事してはならないのよ。
過去、共産党員に警察が盗聴器を仕掛けて大問題になった事があり、以降、通信の傍受と言うものは御法度とされてきた(憲法第21条:通信の秘密、及び不正アクセス禁止法の抵触)のだが、ひょっとしたらやっちゃったかも知れないのだ。


 今回はニュースソースにもある通り、著作権のあるものを送信可能な状態にした、との事で捕まっている訳なのだが、これも拡大解釈されると何も出来なくなる可能性がある。
そもそも、この定義自体もネットワーク化された時代にはそぐわない定義なのだ。
今のウインドウズにはメッセンジャーが標準で添付されている。で、上述したとおりメッセには「ファイルの送信」てのがある。
そう、既にウインドウズ使ってる奴は著作権のあるファイルを送信出来る状態にあるのだ。


 そして、もう一つがWinny自体の特殊な構造=ファイルを暗号化、キャッシュ化してバケツリレーのように送信する事の、著作権との兼ね合いだ。
自分が知らない間に他人の交換したがったキャッシュが貯まっただけで、「他人に対して著作物を送信出来る状態にある」訳だ。
メッセンジャーの導入を勧めるような広告文でも、「お気に入りの音楽をあの人に送ろう」とかあったりするが、その一文も著作権の侵害を幇助していると見ても不思議では無くなる。
これらの事を別の例えであげれば、俺がミスチルか何かの鼻歌を歌っていた所を誰かに聞かれたとする。
俺は、不特定多数の人間に「歌という著作物」を事わりなく聞かせて居たから著作権を侵害している、となるのだ。
そんな莫迦な、と思うでしょう。でもそれが今の事。


 では、なぜおかしな事になっているかと言えば、日本を問わず、著作権のあり方と云う物が次第に崩れて来ている現状と、著作権を金蔓として考える人達がいる事にある。
本来は、著作権は何かを生み出した人達を保護する為のもので、それ自体、とても重要かつ必要な事だ。
しかし、それが誇張しているのも事実。鼻のデカい、チョビ髭でオーバーオール来たイタリア人がキノコ食ってデカくなったり火を噴いたりするゲーム作る会社とか。富士額のネズミを描いただけで金を取ろうとするアメリカの企業とか。特に後者は、アメリカの司法を揺さぶって著作権の持続期間を延長させる位だし。
デジタル化が進んで、モノ自体がそのままコピー出来るようになってしまった現在、著作者に対する権利と、それを金蔓として考えている者達の関係を捉え直し、そして再構築する必要がある。


 今回のこの騒動は、実は日本のインターネットと云う物の根幹を揺さぶるものだと俺は考えている。
無論、悪質な著作権侵害は罰されて然り。だが、それを取り締まる為に警察は何をしても良いのかと言う点が一つ。
そして、何よりも自由な情報の交換というものがネットの前提であったが、それが公権力によって侵害されたと言う点。
更に、普及しつつある高速回線の必要性が希薄となること。これによって通信インフラの整備が滞る事。
俺個人として、矢張り著作権は守られるべきだとは思う。だが、ネットワークと言うものの利点と意義、そしてその裏にある欠点を考えると、このWinny等のソフトの登場もまた必然だと思うのだ。現にアメリカでは、似たようなP2Pのソフトはごまんとある。
故に、著作権を殊更に主張する側も、排除する事だけを考えるのではなく、如何にそこから上手に金を取って行くかを考えるべきだ。


 良い例が、アップルが提唱している音楽ビジネスだろう。これは「itunes Music Store」と呼ばれ、一曲99セントで音楽がダウンロード出来るサービスだ。
俺は使った事が無いので、正直使い心地までは分からないが、1週間で100万曲がダウンロードされたと言う盛況ぶりからしても、その人気と実績は伺える。
自分たちにとって邪魔だからと攻撃するだけではなく、如何にそれらを取り込むか、また、譲歩して考えるか、それが著作権ビジネスに携わるものの考えるべき事であるし、そしてそもそも、著作権とは何なのか、これからどう捉えていくべき事なのか、それを考え直す時期にあると俺は思う。


追記 勉強不足で申し訳ない。全然薄いしまとめたいこと、言いたい事の半分くらいしか書けませんでした。
Winny作者の連行の怪しさとか既得権を主張する団体の胡散臭さ、かも書きたかった…。
あと何故京都府警か、と言う事。あれ多分、花札会社があるからだろうね。既得権主張団体のお得意様。