イラクでの邦人殺害とそれが齎すもの

イラクで邦人が殺害された。どうもテロの類ではなく、強盗などの類の様だが、結果自体は変わらない。よりによって一番悪いタイミングで、起きるべきではない事が起きたのだ。


 肝心なのはこの事件で派兵が止まるのではなく、逆に行かざるを得なくになった、と言う事。 この事件によって、日本はイラクに派兵する口実を手にしてしまった。
今迄は、大義名分なき戦争だったが、「日本もテロに屈しない」事を掲げていた以上、イラクに展開しているアメリカを支持し、共にテロと戦い、テロリスト(この場合はイラク国内の)を殲滅する理由が作られたのだ。


 更に今日になって、日本政府は文民の派遣を取りやめる意向を正式に発表した。
この事は、最早単なる復興支援はしないと明言したも同じである。
俺が以前にも書いたとおり、イラクに対して復興支援を行うのであれば、軍人ではなく技術者を送り込むべきだった。
それを取りやめ軍人だけを送り込む事を、日本は決定したのだ。
この事は、後に大きな禍根を残す事になるだろう。


まだ、アルカイダを名乗るテログループが日本を標的にする旨を発表していなければ、まだ話は別だった。
それというのも、テロではなく単に暴徒の犠牲になったと捉えられた可能性もあって、変に政治的配慮や愛国的感情を刺激する事もなかっただろう。
だが、現在の報道でも分かるとおり、テロという事に位置づけられてしまっている。ひょっとしたら、本当はテロでは無かったかも知れないのに。


日本だけで無く、イラクではアメリカやイタリア、スペイン、韓国などの国の人達がテロ(マスコミ、政府のの報道に倣って以降敢えてこう記述する)の犠牲になっている。軍人だけでなく、民間人もだ。
アラブの猛者達は「アメリカに荷担するもの」と、ひとくくりにした非イスラム諸国に対し容赦無く攻撃をしているし、今後も行うだろう。
何処の国の誰か、と言う事は無関係だ。彼らに大事なのはイスラムか否か、だ。
そうした対立はそのまま、感情の対立へと発展、更に憎悪へと発展し、そして似たような価値観を持つ人々を巻き込み、互いの溝を深くするだろう。


 俺がこの事件から得た印象は、十字軍だ。
元々、アメリカのアラブに対する攻撃は十字軍的な性格を帯びていたと思っていたが、それにイスラムも呼応してしまい、結果として今後は上述した通り、イスラム対非イスラムという対立構図が出来上がるのでは無いだろうか。
それは、1000年前のキリスト教イスラム教と言う対立とほぼ同じような構図である。
勿論、一般の市民の間ではまだ、そんな事にはなっていないと思うが、それは今後のプロパガンダ次第だろう。
何れにしても、1000年前と同じような事やってるとすれば、人間てのは案外頭が悪いものかも知れない。


 そして、一般市民たる俺達が今、するべき事はテロを、テロリストを憎む事はあっても、国家や民族に対して嫌悪の情や憎悪を向けてはならない。
それこそが、政府のプロパガンダに乗ってしまう事に他ならないからだ。
人間は合わせ鏡、此方が憎めば向こうも憎む。そう言う事を、なるべく起こらないようにして行くべきだし、留意していくべき事だろうと思う。


追記 最近、最下段の匿名メールから何も書かれてないメールが届く。
あのですね。「Wacremaに物申す!」って所になんか書いて送信ボタン押して下さい。
このままじゃ、俺、嫌がらせされてる?と不安になります。