岸和田の児童虐待から考えた

 大阪の岸和田で起きた児童虐待の事件は、もう諸君も知っている事だろう。
故に、敢えて詳細は書かないが。


 何だか痛ましくて、嘆かわしくて、ネガティヴな言葉しか浮かんで来ないのがこの事件に対する感想であるのだが、ここまで酷くは無くとも、子供に対する虐待というのは案外、日常的に行われている物なのかも知れない。
そもそも、子供に対する躾として体罰を行う事は、俺は決して否定出来ないし、体罰と虐待を何処から線引きするのか、と言う問題、そして、恐らくどんな人の心にも魔が差す刹那というものはあって、どんな立派な親だろうとも、虐待する、或いはしたいと思う刹那はありえるものと俺は思っている。
ただ、酷い虐待が長期間に渡って行われる事は間違いなく罪である。肉体的であろうと精神的であろうと、それは大差は無い。


 俺は、子供を持った事も無いし欲しいと思った事も無いから、そう言う気持ちは分からない。
本当は、そう言った境遇になってみないと分からない事は多いから、俺のように体験した事もないのに口を挟む権利は無いのかも知れない。
けれども、家に居る猫に対してでも、懐かないからと言って殴るような莫迦な真似はしようとも思わないし、また、悪さをした時は叱るけれども、だからと言って再起不能になるまでやる訳ではない。
猫に対してさえしないのだから、恐らく、自分の子供となるともっとしないだろうなとは思う。


 俺があの、犯罪者−敢えて犯罪者と書こう−の気持ちが分からないのはそこなのである。
猫でさえもそんな気にならないのに、まして自分の子供に対しそこまで出来るか。
多分、普通は出来ないだろう。では何が、あの犯罪者達をそこまで追い遣ったのだろうか。


 良く、虐待は連鎖するという報告がある。
虐待を受けて育った子供は、大人になって同じ事を繰り返すと言う事だ。
極端な話で言えば、人扱いされなかった子供は、どうすれば他人を人扱いしていいか分からない。それが連鎖となる。
この事件で見ても、インタビュウに答えて居た父方の祖父母の反応から見て、恐らく愛情を持った育て方をして来なかったのでは無いかなと推察される。


 連鎖する性質の物である以上、そしてそれが無意識に行われ、エスカレートしていく性質の物である以上、個人での抑止しか事実上の防止策は無いと残念ながら思う。
教育によっても改善される事はあり得るが、結局、本人の自覚次第になる訳だし、虐待をやめたいと思っている人ならば兎も角、ああ言った風情の屑には馬耳東風であるだろう。


 だとすれば、より根本的な所での改善しか策は無いのではなかろうか。
往々にして、こういった虐待の類は、望まれぬ子供に対して行われがちである。所謂「出来ちゃった結婚」の結果だとかな。
勿論、出来てしまったが責任を持って子供を育てている人達も沢山居る。俺の友達にも居るし、そう言う人達に対し悪し様に言うつもりは毛程も無い。
だが、無責任に子供を産む奴が多い事もまた事実で、それは結局、満足な避妊をせずに生でばっかやってるからだろう。


 ならば、禍根を元から断つ為に、極めて安価で、かつ効果的な避妊薬の類を流通させる事が重要ではないか?
副作用の少ないモーニングアフターピルのようなものでも良いし、殺精子剤のような物でも良いだろう。兎角、安価で、かつコンビニなどで気軽に買え常備されるようなものである必要がある。
また、コンドームのように種を撒く男の方の協力無しには行えないような物ではなく、女が一人でも僅かな時間で行えるような物が望ましいだろう。
本当に、ジュースやお菓子を買うような感覚で手に入れる事が出来、セックスの度にそれを使用出来るようにすれば、少なくとも望まれない子供達が、殺される為に生まれる子供達が世に出る事は無くなるのではないかと思っている。


 無論、後付けの理由−例えば離婚による連れ子などに対する虐待−などのケースも有り得る。
だからこそ、そう言う人達をフォローしたり、子供達を救済するような機関はより強い権限を持ち、権力を行使出来るようにしなければならない。
今回の大阪の児童相談所にしても、結局は人員の少なさと職員のあまりの無能によってこの結果となった事は否定できまい。
そこの所を改善し、単なる役所の人事異動ではなく、適材適所の配置を速やかに行う必要がある。
また、DVなどに悩む人は何時でも逃げ込め、そして安全に保護される、もっと強い力を持った駆け込み寺の様なものを作り、その存在を万人に広めなければならないだろう。


 ただ、それだけで済ますのではなく、そもそもの問題がどうして起こるのか、そしてその根源をどうやったら断ち切る事が出来るのかが非常に重要な課題ではないだろうか。
そして、その課題に対する俺の答えが上記である。


 あの子供達は、とてもかわいそうで、親に対しての怒りなどは殆どの人が思う事だろう。
けれども、感情的になって「許さない」とか言っているだけではやっぱ駄目で、そこから先に進む事はない。
また、何よりも大事な事は、児童虐待に限った事ではなく、様々な問題に対し俺達が、常に考え、気を配る事では無いだろうか。
ある問題に対し何が出来るか、何をなすべきか、それを考えるか考えないかだけでも事は大きく変わると俺は思う。


 少なくとも日本では憲法によって、総ての人は、生きる権利を保証されている。
そして同時に、何人たりとも誰かの命を奪う事を赦されて等居ない。


追記 この事とちょっと関係するんだけど、覚えておくと良い法律「刑事訴訟法第213条。」
現行犯人は、誰でも、逮補状なく逮捕することが出来るっつうもの。
もう少し具体的に話すと、傷害罪・強要罪・脅迫罪・名誉毀損の罪が明らかであった場合は、その場で犯人を逮捕する事が出来るし、手錠やロープなどで身柄を拘束する事も出来る。
後は、警察に引き渡し、被害者(自分とか)の事情徴収、被疑者(犯人)の取り調べ、現場検証となって行く。


 まず相手に対し、「貴方を傷害罪(脅迫罪・強要罪名誉毀損)の罪で現行犯逮捕します。警察が来るまでの間にそこを動けば、逃走した者とみなして捜査させます。」と、はっきり相手に伝える事が大事。
で、警察に「傷害の現行犯で犯人を逮捕しました」と連絡するんだけど、そん時一応会話を録音しておくともっと良い。後で問題になった時に、今度はその録音したものを証拠に更に上の権力(例えば国会議員)に判断を委ね、追求させる事が出来るから。
当然、虐待は傷害罪に当たるので子供でも親を逮捕する事は出来るし、また、DVに悩んでる人や、いじめなどに遭っている人も逮捕する事は可能。
ま、覚えておいて損ないよ。