牛丼販売停止とアメリカでのBSE調査中止と

 いよいよ吉野屋が、ストックしてあった米国産の牛肉が底を尽き、牛丼の販売を停止するという。
味では俺の好きな「すき家」も既に販売を停止したし。
各マスコミもこぞってこの話題を報じ、(さなが)ら銀行の取り付け騒ぎのように、土壇場で牛丼を食おうとする人でごった返して居るという。
この事を見越してか、それとも偶然か、アメリカはBSE調査を打ち切ると言う。
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 BSE狂牛病と言えば、ヨーロッパ諸国でもその対応に関して非常にナーバスになったものである。
それというのも単に、BSEが人間に感染し、そして死に至らしめる危険があるからだ。
にも関わらず、調査を開始してからたった一月半で。
BSEが見つかったのと同じ牧場の牛の追跡調査して、80頭の内28頭だけしか見つからなかったのでそれ調べたけど大丈夫でした。それに何処行ったか分かんなくなったのはしょうがねえし、他のからは見つかってないし平気、という論法でやめるって。
これが本当に、シリアスに物事を捉え対処する者のやり方か?
28/80でハズレって、そんなん極々普通にあることだろう。パチスロの「北斗の拳」だって、一番継続率が低いのでも連チャンする位だ(一番低い継続率は66%、このBSE調査でハズレと判断されたのは65%)。
66%だから全く連チャンしないって言うのと同じくらいバカらしい事を言っている訳だ。
それに、逆に考えれば52/80で当たりだった、って事だって考えられる訳だから、如何にその考え方が杜撰か。


 1988年の、アメリカとの牛肉・オレンジ交渉によって牛肉の輸入が拡大させられ、アメリカにとって日本は良いお得様の一つとなった。
だから、アメリカとしてはなるべく早期に牛肉の輸入を再開させて貰いたい訳だが、その為に講じる事は徹底的な調査ではなく、憶測と言っても良いような判断に基づく結果を提示し、また半ば強引に牛肉を買わせようとしている。
今のところ、日本政府側はちゃんと調べるまで買わないと言うスタンスを貫いては居るが、それもアメリカの強硬的な策に掛かったらどうなるかは分からない。
下手をすれば、俺達は国家のエゴで牛食って死ぬかも知れないのだ。


 けれど、この事は一つには、俺達が招いた事であるかも知れない。
牛肉だけの話ではなく、ね。
と、言うのも俺達は結局、単に安いと言うだけでモノを買ったりはしていないだろうか。
勿論、安い事は良い事ではあるけれど、単に安いと言うだけで輸入品ばかり買って居ては、ちょっと割高ではあるが国内で生産されているものを買わない事になってしまい、それは結果的に、国内での流通を阻害し、金を他国に撒く事になる。
また、安いから輸入し、国内のものを敬遠すると言う事になれば必然的に自給率も下がる。
もし、自給率が低く他国の輸入に依存している状況で、その供給ルートが突然絶たれてしまった場合、どのような事になるかはこの牛肉騒動で諸君もお分かりになるだろう。


 今は特に、不況とデフレの直中で、少しでも安く済むのであればありがたい事だろう。またモノを販売する側も、安くせざるを得ない状況に立たされており、結果、安い輸入に頼るのも分かる。
別に、安いのは駄目と言い切る積もりはないし、輸入することだって良いとも思う。
けれど、その一方で国内で生産されたものを消費し、流通を促す事も必要ではないだろうか。
一般的に国内で生産されたものは割高で高級感がある印象が強いが、その印象を生産者は払拭するべきだとも思うし、また、消費者も若干の金額の差異程度ならば国内生産されたものを消費して、生産者を育てる事が重要ではないだろうか。


 その事を自分たちの問題として捉え、そして意識を変えていくには今は実は良いチャンスなのではないか。
アメリカが輸入再開をゴネて来て、日本が輸入再開をせざるを得なくなった時でも、俺達がそれ買わなければ良いのではないだろうか。
吉野家の牛丼にしたって、一部店舗では国産の牛肉を使って、割高で営業するという。
もし、どうしても食べたいのであればそこまで行けば良いだけだし、あまり大きな値段の開きがある訳では無いのだし。
ただ安いから、と言う理由で牛丼食っていたのなら豚丼食べれば良い事じゃないか。
高い安いと言う事よりも、俺達は、別に神経過敏にならずとも良いから、この「食」という事とそれに絡む問題を知り、そして考えてみる必要はあるのではないか。
そして、皆で考えて路線を変更するのならば今は絶好の好機なのではないか、と俺は思うのだ。


 まあ取り敢えず、個人的にはアメリカの肉は食いたくはねえな。
詐欺師みたいな奴らが売りつける肉だぜ? なんか臭そうじゃん。なんか。