インフォームドコンセントと弟の転院

 弟が入院してる病院を変えて、別の所に転院する運びとなった。
理由は簡単。医者が藪だから。


 来週には手術をしないとならない、と弟が言われた事から始まる。
複雑骨折でも無いのに、どうして手術するんかね、と俺が疑問を提示したところ、そう言えばそうだと家族中で疑問を抱き始めた。
そこで、弟が先生に問うた所、「普通はする」と言う答えになってない答えが返って来、親が、通っている接骨院の先生に何気なく尋ねた所、場合によっては手術もしますが、それが普通という事でもない、と答えが帰って来た。
その先生から病院を訪ねられたので名前を出した所、先生は目を丸くして首を横に振ってこう言ったと言う。
「すぐに(その病院と縁を)切りなさい!」


 その一言で事態は急転直下ですよ。
取り敢えず、俺はネットを使って横浜市内の良い(または悪い)評判の外科をリストアップする作業に迫られ、そしてその結果を元に転院の手続きを始める親。
本当ならば、南共済という病院(横浜ベイスターズの選手を診ている)か、港湾病院(関節関係では日本トップクラス)の病院への転院を希望していたのだが、そんなとこはすでに予約で一杯な訳で。
あまり時間をおくと症状が固着してしまうので、取り敢えずではあるけれど悪い評判の無い所、と言う消去法で病院を選び、移った次第である。


 営業妨害の可能性があるので前の病院名は記さないが、その病院では調べれば調べる程、告訴されてもおかしくない医療ミスの類が沢山出て来た。
実際に、親の知人や弟の友人の話でも、やれ手術後退院して後に傷が開いたとか、指が変な形に固着してしまったとか、そんなんばっか。
で、とどめが接骨院の先生の目を丸くしての発言。
そりゃ移るわ。


 こうして、いざ家族の事となって、インフォームドコンセントや病院を選ぶ権利、そして病院を調べる事ってのは重要だと思った。
勿論、その以前の病院で無事に手術が終わって何事も無く退院する事だって有り得た訳だし、転院した現在の病院で失敗する確率もまたある。
しかし、より納得の行く医療を受ける、失敗するリスクを受ける側で減らすと言う事は、翻って見ればその医療行為を選択した自分にも責任が生じる。
何でも人任せにして失敗し、誰かを責めるよりも、自分で選択したのだからと思う方が健康的でもあるだろう。


 多分、多くの人は「医者が言う事だから」と、言葉を鵜呑みにしている事が多いだろう。
猜疑に凝り固まるのは決して良い事だとは思わないけれど、でも、鵜呑みにするのではなく、何処かにクエスチョンマークを閃かせている方が、ひょっとしたら自分の納得の行くように物事が進むのかも知れない。
そのクエスチョンに対して、納得の行く答えをきちんと明示してくれる事はそのまま信頼に繋がる訳だし、誤魔化すのはそれだけの理由がしっかりと存在しているであろう訳だから。
自分が納得の行かぬ侭に、体の一部が不自由になるような事は、俺には耐えられんし、断じて、俺の大事な人間達にもそうあって欲しくは無い。