憲法改正論議に思う

 えーと。
本当は憲法記念日にこれ書いて載せるつもりだったんだけど、ちょっとサボってたら遅くなっちゃったよ。
つか告白するわ。プレステ2で遊びすぎ。
そんなこんなでどうにもまた、旬を外した気はするが、そんな事無関係だと思いこんで行きますよ。


 3日は憲法記念日で、新聞やニュースでも、それに併せ改憲の是非が問われていた。
憲法改正、と言っても実質的には戦争の放棄と交戦権の否定をしている第九条*1をどうするかと言う事だろう。
新聞の世論調査でも、改憲に賛成な人はおよそ6割近くに至った。


 改憲に賛成する人達の多くは、「アメリカから押しつけられた憲法ではなく、自前の憲法を持つ」という事を一つのスローガンにしている。
確かに現憲法は、GHQが作成した草案を元に作られたもので、日本人自身の為、と言うよりは占領政策の一貫としての側面が強く表れたものであっただろう。
だがしかし、それが何だかんだ言いつつも結構良く機能している事も亦事実。
「これを着ろ」と手渡されて嫌々着た服が、案外と着心地が良くて、と言った塩梅だろう。


 また、「押しつけられた憲法がいや」と言う人は、「強要されて作った」自衛隊にはどう、思ってるのだろう。
これは肝心な事なんだけど、自衛隊はそもそも、日本が自発的に作った組織では無い。


 1950年の朝鮮戦争勃発で、日本に駐留していた米軍がこぞって出兵し、がら空きになる日本を「お前自分でなんとかせい」と言う事でGHQ警察予備隊の組織を命令、それを受け自衛隊の前身となる警察予備隊が組織された。
この時行われた世論調査では「予備隊ではなく、確固とした軍隊組織の設立」を望む声が過半数を超えていた。
 その後、1952年、保安庁が出来て警察予備隊海上警備隊警察予備隊海上警備隊を統括するようになり、警察予備隊が保安隊に、海上警備隊が警備隊に改称される。因みに当時の政府は「保安隊は弱体だから軍隊に当たらず、憲法9条に矛盾しない」との見解を出している。
 更に1954年、防衛庁設置法、自衛隊法の公布と共に、陸自、空自、海自の三隊が組織されるに至る。


 ね。
自衛隊も、冷戦が強まる最中、アメリカから命令されて作らされた代物なんですよ。
無論、当時の政府も内心は自前の軍隊をまた持ちたい、と思っていた事は確かだろう。だからこそ、GHQの命令を速やかに実行したと思われる。また、海上自衛隊の設立には、旧海軍が中心となった「Y委員会」が主導権を握って海上警備隊を作った課程がある事を踏まえると、旧軍人が早く早くと待ちこがれても居たのだろう。
だが、結果としては自衛隊の前身である警察予備隊が、「押しつけられた役割」であった事は変わりない。
その事実を、「押しつけられたのが厭ー」と言う人達はどう、受け止めるのだろうか。


 自民党内では、「戦争の放棄」を明記するも、「自衛の為の戦争」はこの範疇に非ずとして憲法改正のプロジェクトを組んでいると言う。
まあ、確かにそりゃあそうで、自衛する為には戦わねばならん。
けど、それが拡大解釈されると集団的自衛権を持ち出して、アメリカの起こす戦争に荷担したり、或いはあの満州事変の時のように、「やられた振りをして宣戦布告」ってな事も有り得る訳で。
過去に一度あった事だから、またやらかす恐れだって十二分にあるのだ。


 俺の見解としては、「自衛隊は確固とした戦力であるである為に現憲法9条とは相容れない。故に、現憲法を改正し、自衛隊を日本軍と改め、合憲となるようにすべき。其処には自国自衛の戦闘、及び国連での決議による要請以外に、この武力を行使しない事を明記する」べきだと思う。自民党案をより強く規定した感じかな。
しかし、それが如何に危険であるかも解っている。
だって、「今の憲法が気に食わなければ変えてしまえば良い」って事に繋がるから。
だから、結果としては憲法は変えないで良い、と言う結論になる。大きな間違いを引き起こすよりは、或る程度の矛盾に目を瞑る方がナンボかマシ、だと言う事だ。


 また、憲法は、総ての法律の最高規範として存在する。
だから、そんなにホイホイ変えて良い物じゃあないし、そうなると意味がない。
勿論、時代や背景の変遷に伴って新しく出て来た問題などに対応させる事はとても重要で、その為に条文を新たに加える必要もあるだろう。
どんなものであろうとも改憲には反対、というのは逆に一種のヒステリーに近い拒否反応であるかのようにも思う。
だが、既にある条文を、場合に拠っては180度変えて仕舞うというのは余りにも乱暴である。
その事を踏まえた上で、慎重に議論すべき事柄であるし、また、国民もその事を考えなければならない。


 個人的には9条よりも、政教分離の徹底とか、国民による議員の罷免とか、そう言う事を記しておく方が将来、日本国家の為になるんじゃねえかと思うんだが。
どうせ憲法を見直すのであれば、9条一点張りではなくて、もっと多面的に、且つ総合的に捉える必要が絶対にある。
改正改正、と言うけれども、木を見て森を見ず、顰みに倣うのではなくて、何の、何処が駄目か、どうすれば良いのか、それ考えないと、駄目でしょ。


 憲法改正、または護憲の騒ぎの中で俺が思ったのは、こういう事。
あんたらは、どう思う?


追記 書いている最中に思ったのだけど、「押しつけられた」って言う人達って、校則に反対して学ラン短くしたりカラー外したりしてた人なのかな。
♪盗んだバイクで走り出す〜
従うとは負けることと言いきかした〜
夜の校舎 窓ガラス壊してまわった〜
逆らい続け あがき続けた 早く自由になりたかった〜
…あれ? 妙に被るな。

*1:条文・日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。また、前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。