天皇陵が調査可能になるかも知れない

 なんか、今までは禁止されていた天皇陵などの調査を行えるようになるかも知れないらしい。
ソースは>>こちら。


 うん、良い事だと思う。
日本には、幾つものタブーがあって、それは当時の必要性故に作られたものも多くあるのだが、この「天皇陵の調査禁止」もその一つ。
もともと、明治時代に急ごしらえで制定された各地の天皇陵は、その制定の杜撰さも相まって、現代では「伝・なんとか天皇陵」とされている所も多い。自信を持って「なんとか天皇陵」と呼べない訳だ。
にも関わらず、調査が行えなかったのは明治時代から強く推し進められてきた皇国史観の影響と、宮内庁の内部事情。
今とは違い、神聖ニシテ侵スベカラズという対象であったが故に、本当に天皇陵かどうかも定かではない小山をも神聖視し崇拝させていた経緯は大きいだろう。


 それが漸く、この時代になって緩和されるかも知れないと言う事、少なくともまず一件を許可した宮内庁の英断に拍手。
腰は随分と重い様だがな。
本当に天皇陵なのか、と言う事も宛ら、本当は天皇陵じゃなかったとしても、じゃあその墳墓の主がどれくらいの規模の豪族で、交易範囲や支配地域を推察するのにも充分な手がかりになると思うし、また、ひょっとしたら今までには出土しなかったような代物も出てくるかも知れない。ヒヒイロカネとか。有り得んだろうけど。
それだけでも、日本の歴史学にとって大きな進歩と言える事だ。


 実は、どこの国でも見られるように、日本の古墳もまた盗掘の被害に随分と遭っていた過去がある。
明治時代にも、幾つかの品が堂々と盗掘され、海外や一般に流出した経緯がある。(確かボストン博物館や、東京の国立博物館にも、そのルートで流れたものがある)
だから、調査した所で金銀財宝の類が出てくるかと言えば、それは悲観的に成らざるを得ないだろう。
しかし、考古学のジャンルで言えば、そう言った解りやすい財宝よりも、剣や鏡、埴輪などの類の方が寧ろ重要な意味合いも持つ事があるし、それらならばまだ、盗まれては居ない可能性もある。


 このソースにある墳墓は所謂天皇陵じゃない。
あくまでも憶測だが、卑弥呼の墳墓ではないかと言われてるものの一つである。
大きさは「径百余歩」と魏志倭人伝に記述されていた大きさとほぼ合致し、また、地理的にも問題はない代物であるという。
実際にこれが卑弥呼の墳墓かどうかは、その後の調査次第ではあるけれど、その結果が待ち遠しいなと思う。
因みに、宮崎と言えば日本神話の天孫君臨伝説に登場し、坂本龍馬も見に行ったと言われる「天の逆鉾」がある。
天の逆鉾は降臨した邇邇芸命(ニニギノミコト)が「浮きたる島の如く見ゆるものを、鉾でかきさぐり」高千穂峰の山頂に逆さに立てたものであると言われている。


 神話や伝承が100%創作であるなんて事はなく、大体は過去の事象などをベースに作られているものだ。
その事をトロイアで実証したのがシュリーマンだった。
この、宮崎などでの調査によって、神話との相似相反、そう言った事が明らかに成っていくだけでも、俺はちょっとウキウキとするものがある。