お祓いと箱根温泉に行った事

 総司令官閣下(親)が誕生日を迎えられたので、お祝いにというか、ご機嫌取りにというか、そんな理由で日帰り、箱根の温泉へと赴く事になった。
湘南の海を真横に見ながら、道中、何やら「寒川に行く道と同じ」などと聞いた事の無い地名を宣うので、何のようでそんな所に行ったか問うと、俺の居ない間に寒川神社なる所にお祓いに行ってきたと言う。
まあ確かに、事故にあった者同士でお祓いに行くのは良いのだが、残された俺の立場はどうなるねん、と軽く拗ねた所、急慮箱根に行く前に俺もお祓いを受ける事となった。
棚からぼた餅。最近呆れる程ツイて無く、パチスロでの敗北率が高かったので有難く話に乗る。
ま、鰯の頭も信心からってね。


 寒川神社という所は、八方除(はっぽうよけ)と言う、風水の地相に近い様な御利益があるらしい。陰陽五行説に則った考え方。八方にある厄を祓い、運を開き福を招くもの。
お布施の金額によって、永代とか一代とかあるのだけど、取り敢えずという感じで当座を選択。


 暫く待たされた後案内されると、まず上に白い装束を羽織るように指示された。
次に、手を洗い口をすすいで「禊ぎ」の代わりをする。
本殿に案内されると、俺一人。ぽつーんと広い空間に一人で居るのは妙な哀愁を誘う。
程なくして、神官が現れ、祝詞をあげる。その最中、「横浜市〜に住まうWacremaの〜」と住所、名前を入れてくれた所で何故か笑いがこみ上げ、必死に我慢。
更に後、色の付いた装束を着た、如何にも上級神官と言う感じの方が、俺に厄を祓い浄め給えと祝詞をあげ、榊の葉を手渡す。
どうやらこれに願いをかけて、神前に託すようだ。捧げて二礼二拍一礼のち、また祝詞


 この前後から、実は俺はもの凄いダルさを感じていた。
座って手を膝に置き、頭を垂れている時も、手に掛かる負荷が何故か高く、腕立て伏せの姿勢で居るときのような感じ。
そして、立って祓いを受けている最中も体全体に疲れを感じる。
時間にしては30分無いはずだし、それくらいの時間立ちっぱなしで居ても、普通そこまで疲れる事もない。
祓いが終わり、社の外に出るとそのダルさが更に加速する。
弟に、「なんかごっついダリい」と言うと、弟や親もやっぱりそうだった、理由が分からんと返した。
祓いというと、何かこう、悪いものが落ちすっきりする印象があるけれど、逆。すんごい疲れる。
車に乗り込むと疲れはピークに達し、目の奥というか頭の真ん中に鈍痛を感じるし、四肢は力が抜けるし。
弟に運転を代わってもらって、俺は助手席でダウン状態。
ただ、そんな中でも、「祝詞」の言葉そのものが古事記にある言葉と全く同じである事の意味を考えたりはしていた。


 寒川から車を走らせ一時間程度だろうか、箱根に到着し立ち寄りの湯を探す事となった。
湯本の駅前の観光案内で話を聞き、良さげな感じのする「天山」という所へと赴く。
ここがまた、良いとこで。
風呂に入る前にちょっと腹ごしらえと蕎麦を食ったのだが、その蕎麦が美味。
また、ロケーションも川沿いにあり、爽やかな風が吹き抜けせせらぎが聞こえる。この演出だけで美味さ3割り増し。
温泉に入れば入るで、野天風呂から空を見上げれば、楓の向こうに月が透けて見える。粋!
そのまま楽な姿勢を取っていたら、終いに自分の脈拍と呼吸音しか聞こえなくなって、何か悟りそうな感じになったので慌てて風呂から上がったが。
風呂から上がれば上がるで、涼み所には風鈴があるし、良い風吹くし、月に叢雲だし。もう、どうしろと。
祓いの疲れと温泉に入った後の気怠さとが相まって、「ボクここの家の子になる!」願望がむくむくと頭を擡げる。


 最後は飯で締め。
網元直送が売りである、以前に行った事のある魚料理屋に連れて行くと、弟(釣りマニアであり魚フェチ)はやおら、目を輝かせ、珍しいという魚ばかり頼みに入る。
俺はとてもじゃないが疲れて運転出来ないので、酒を飲む事に。
俺は魚が嫌いなのだけど、そこのは普通に食べられる。
頼んだのは、イサキの造り、イシガレイの造り、鯵の握り、メゴチの天麩羅だったのだが、中でもイシガレイはあまり見かけないもので、普通のマコガレイと違った味があった。
弟としては他にアコウダイシマアジ、クロムツ、尾長鯛、カイワリという魚が気になったらしく、何かを一切れ食っては頼むかどうか葛藤している様は、兄弟ながらアホなんだなあと思った。
まあ、俺は魚の味良く分からんから、どうでも良いんだけど。


 こんな感じでお祓い&温泉は終了。
もし箱根に赴くような時があったら、是非とも「天山」って所に行って見て欲しい。
立ち寄りで入浴料は1200円。宿泊は2泊かららしい。オフィシャルページは>>こちら。
その魚料理の店も教えたいんだけど、店名を失念した上、場所を説明するのがややこしい。ま、それは各自観光案内か何かで聞いておくれ。


・追記
しかし、あのお祓いを終えた後の気怠さは未だに理由が分からない。
普通はやっぱ、憑き物が落ちたりしたら軽くなってすっきりするんじゃないの?