友人の「入院と契約打ち切り」に腹を立て

 友人が胃を患ったらしい、と電話をかけて来たのが今週の頭のこと。
俺も以前に胃カメラ飲んだりしたから、どういう感じなのか、痛くないのかなど参考にする為に電話してきたようだ。
俺が検査を受けた時も言われた事だが、胃が痛いと言う時でも、ひょっとしたら別の所の病気の可能性もあるよ、と話して居た。
その友人が検査を受けて後、痛みが治まらず、どうしたものかとまた電話をしている最中に、痛みが堪え切れなくなったようで、その非常な状態を案じ電話を切ってすぐ後、友人は緊急入院する事となった。
症状は、「急性腹症(腎炎と結石症)」。そら胃薬飲んでも収まらん。


 本来、仕事先などには休む前に連絡を入れるのが通例だが、こういった場合は是非もない。
止むを得ず無断という形で休んで後、仕事先に友人が連絡を入れると、こう伝えられたそうだ。
「もう結構です。」
診断書の提出も拒否されたという。
確かに、入院の前も検査などで午後から出勤する事となったりはしていただろうが、その友人は無断欠勤を何度もするようなタイプとは遠く、寧ろ謹厳実直なタイプで、積み重なった勤務態度などが原因とは考えがたい。
だとすれば、本当に入院しただけで解雇通告された事となる。


 その話を聞いていて、俺は他人事ながら妙に腹が立って。
からくりを聞けば、紹介された仕事先は寧ろゆっくり休んで、それから仕事して欲しいと言う意向だったものの、仕事を休む間には派遣会社の方には金が入らない。
だから、派遣の方から一方的に紹介先に入れ替えとなる人を寄越し、友人は契約打ち切りとなったようだ。


 これ労働基準法に抵触すんじゃねえの、と条文やら判例やらを見てみたら、案の定。
解雇には合理的な理由の存在と解雇予告の手続きが必要で、パート・アルバイト・派遣などでも14日以上勤務している場合は労働基準法が適用され、唐突に「君は来なくて良い」と言われた場合でも、「解雇予告手当て」(30日分の賃金)を請求できる。


 しかし、こういった類の判例やら相談でのは実に多いようで。
ちょっと検索かけただけでももの凄い件数がヒットする。それだけ、悩まされている人も多いと言う事だろう。
サービス残業の禁止などと言っても建前で、実際にはそれが普通となっている事は俺だって解る。
けれども、やっぱりそれはおかしいだろう。何の為の法か。


 労働者と資本家(雇用者)、と言うマルクスみたいな対立構造はアナクロで、時々そんな事を口にする人達を俺は時代錯誤と思っては居たけれども、現実はどうやらそんなものらしい。
やむを得ぬ入院で契約を切られたり、事故に遭って解雇されたり。本人の責とは全く無関係に。
それってやっぱおかしくねえか?


 そして、そう言った「おかしい」と思った時にこそ、法は役に立つ事も多い。
立たない事もあるけれど、それを知っているか否かでは大きな隔たりがある。
更に加えて、これは俺の友人だけの特別な事例ではなく、今、何処かに勤めている人間なら誰でも起こり得る事でもあるのだ。
いざ自分がそうなった時に、ただ泣き寝入りするだけなのか、それとも一矢報いるのか。
その選択は「知識」というカードを持っているかどうかで変わる。
別に、一から勉強せよって事じゃない。少なくとも、このページを読んで頭の片隅に「ああ言う事云ってたな」と置いて居てくれれば、いざという時に思い出す事が出来るなら、既に知識というカードを持った事となるのだから。


 と、穏やかに書いてからちょっとだけ噛み付きますよ。
実際に判例とか見て驚いたんだけどさ。
何、これ。会社て未だプロレタリア文学に出てくるようなのもあるのね。上司であると言う「強み」を勘違いしてパワーハラスメントしたり。
で、この不況だから文句もあまり言えない雰囲気があるでしょう。
もうね、キショいのよ。何様の積もりだって。
制定された法が形骸化している事だって解るけどさ、でも法は法でしょう。
「(被雇用者が)知らなければ良い」とか、そう言う問題でもないし。
なんだろ、盗人猛々しい? そんな印象受けるんですよ。
単に友人の事でもこんだけ腹が立つんだから、俺がそうされたら(はらわた)煮えるんだろうな。
まあ、今の俺は職無いスロ打ちだし、心配は杞憂ではあるのだけど。