悪夢を見た事

 こんな夢をみた。


 うだるように暑い大教室で、俺は試験を受けていた。
書いても書いてもその答えには満足が行かず、そうしている内に試験官らしき人にいきなり答案を取り上げられた。
試験の終了を告げるベルや合図の類は無かったが、何せ夢の中だからそう言うものだろうと思っていた。


 帰りしなにオレンジ色の履修要項を手渡され、それをバッグに詰めると、何故か今度は俺はマンションの一室に居た。
まあ、その辺りは夢だから。
真っ白な壁に囲まれた大きな窓のある10畳ほどの部屋で、先程貰った履修要項をぱらぱらと眺めていると何故か、俺はもう、どうあがいても留年決定で、だから夏なのに履修要項を手渡されたんだ、と思った。


 え、待て待て。
ホントに駄目なの? 俺何が足りないの?
必死になって履修要項をめくる。心臓が早鐘を打つのが解る。
けれど胸の内では「何をしても駄目」と分かっていて、徐に履修要項を投げ出すと、途端に膝が崩れた。
「あー!留年かよー!」
そう頭を抱えた所で、はっと目が覚めた。


 俺は大学を出て幾年にもなるのにこんな夢を見ているあたりで、まだ、呪縛のようなものから逃れられてないらしい。
しかし、厭な夢。