コンタクトに四苦八苦

 コンタクトを作った。ソフトのやつ。
いや、実はかれこれ十年程前から作ろう作ろうとは思っていたのだけど、一つにはそのメンテナンスの面倒くさいイメージ、もう一つは周りの人間からメガネの方にしろと言う半ば命令に近い言葉があって、作るのに躊躇していた。
だが、あるきっかけがあったので、漸く作ってみた。


 いや、コンタクトって入れるのすごい大変なのな。俺今平均して一時間くらい掛かってる。
こんな事を話すと大抵「私は10秒くらいだけど」「あり得ない」などと言ったリアクションばかり帰ってきて。
「あり得ない等と言う事はあり得ない。現にこうしてある訳だから」と屁理屈捏ねた所で止む方無し。


 別の他の人がどれ位かかるかなんて俺の知った事じゃないんだが、それでも入らない事自体、癪に障る訳で。
終いには強引に目に入れようとして目が真っ赤になってみたり、行き場のない苛立ちから鏡を殴ろうとして、「抑えて!俺!}と思ってみたり。
で、だ。漸く入れたと思ったら左右逆でまたすぐ外してみたり。
なんかね、俺は奥二重で、まつげが若干下方向に向かっているから、瞼を上げてもやっと他の人の通常レベルに成る訳で。だから、コンタクトを入れようとするとまつげが邪魔して入らない。
まぶたや目の下ひっぱりすぎて、今はヒリヒリとしてるしよ。


 コンタクト如きに小一時間も掛けなければならない事の理不尽さも宛ら、コンタクト如きに苛々させられてる自分も情けない。
こんな苦労すんなら別にメガネでも良いじゃん、と段々思うようになる始末。
また、付けてみて分かったんだけど、コンタクト付ければ目がぱっちりする、なんて事も無いのね。
確かに服装を選ばなくはなったけど、目つきの悪さは相変わらず、寧ろメガネの方が、目つきの悪さをカヴァーしつつ、同時に頭良さげに見える。


 ま、慣れの問題だと思うんだけどさ。
毎回毎回、付けるたびにこうして苛立ち、時間ばかりを無駄に費やす事を考えると、正直ブルーな気分。
正直、今、コンタクト付けてる人を俺は尊敬と羨望の眼差しで見ている。