さよならNEET、こんにちはフリーター

 色々とあった、と先日書いたけれども、つまりはそう言うことなのです。
HDDの全フォーマットをした時に、後で載せようとしていた下書きをうっかり一緒に削除してしまったので、改めてこうして書き始める。
故に時系列が狂う。これからとりあえず四日分を過去に向かって書いていくから、PCで見てる人はそのまま下に、携帯で見ている人は一日ずつ過去に遡って読んで行って欲しい。


 大学を出て今まで、俺はスロットを打ち収入を得ていた。
決して大金では無いし、困窮極まる事も侭ありはしたが、それでも何とか凌いで来てはいた。しかし、それが何某かの労働に準ずるものではない。また、その間に何らかの教育を受けたり勉強をしていた訳でもない。
そう、将に最近よく聞くニートって奴であった。
大学を卒業して当初、就職するまでの小遣い稼ぎ、としていたスロ稼業が次第に本末転倒と成り果て今に至っている。


 しかしこの侭ではまずい、とスロに収入を頼る生活から足を洗い、改めて日雇いバイトに身を(やつ)し−この表現には異論はあるだろうが、俺は身を窶すと言う言葉以外に相応しいものは無いと思っている−、これで俺も一介の労働者。
いや、確かにとっとと何処かに就職出来るのであればそれに超したことはない。しかし、手元に残弾無い侭に戦場に出るのも問題だ。
だからこそ、まずはリハビリも兼ねつ実弾稼ぎとして斯様な事をしようと軽く思ったのだが。


 最初は、Yahooのメニューにある「ショットワークス」と言う単発、短期メインのバイト紹介に登録した。
説明ではサイトで検索した仕事にアプローチすれば向こうから色々と情報や仕事の依頼が来る、というもので、幾つかピックアップしたものに応募したものの、音沙汰なんか有りはしない。
つまり、このサイトは仕事の紹介と言うよりは各、人工出し(にんくだし)、または口入れ屋(くちいれや−両方とも昔、人材派遣の事をこう呼んだ。主にやくざがシノギとして行っていたもの。因みにやくざ≠暴力団ね。)の宣伝で、こちらから更に口入れ屋にアプローチして仕事を斡旋してもらうものらしい。
色々なサイトを見て回る手間は省けるが、結局は口入れ屋に自分で赴いて登録、そして仕事の照会と斡旋を頼まなければならない。
面倒臭いのは山々だが、手元の残弾も乏しい故にひとまず、綱島にある某社に赴き登録をした。


 その事務所は小さなビルの3階に在り、若くて乳がでかい女と、二人のラフな格好をした社員らしき男と、先客と思しき背は高いが話し方も体つきもなよなよとした若い男が居た。
その若い男と共に、自分の情報を書くよう渡された紙に詳細を記しつつ、ふと横を見ると彼は慶応義塾の理工の学生である事が分かった。そうか、場所柄慶応に近いものな。
そう思いつつ記した紙を渡すと、システムなどの説明を受けた。
サイトで見た限りでは交通費は出るような感じだったが、交通費は日給の中に800円分含まれていて、更に安全協力費等と言う訳の分からない費用が250円分徴収される。恐らくこれは作業中に何かを破損した場合に備えての保険のようなものだろうが、それならそうと書けば良いのに。
結局、実質の給与はその日給の中から1000円分ほど引かれた金額になる。まあ、これはどこの会社でも似たような物らしいが、胡散臭い事には変わりない。


 そのほかは仕事のプロセスの説明。
基本的には仕事入れたい二日前の11時から14時までに連絡して、紹介して貰い、予約する。
そして、1日前の夕方にその予約した仕事を行うか否かの確認。
当日、出発する前に出発報告をし、集合場所に着いたら到着報告、更に終了してから終了報告を必ず電話で行う。
更に、前々日と言うものの、基本的には仕事は前日にならないとあるかどうか分からないから、前日に予約して欲しいなどと言われた。
そこに妙ないい加減さと、あまり信用出来ない節を感じとった。


 説明を受け、仕事の紹介をされている間に、仕事を終えて給与を取りに来たと思しき若者達がどやどやと入ってきた。
座るスペースは計、6つしか無い。椅子にあぶれたものは壁に背を(もた)れている。彼らと社員達はタメ口をお互いに利きながら話していて、まるでどこかのサークル的な印象を受けた。
それは別に構わないのだが、その所為で俺の手続きが遅れて仕方ない。
苛立ちながら最初の仕事を紹介して貰って、家路に着いたのだった。