任務:音声主観評価

Wacrema2005-07-06

 こんばんは、「乳当たった」などと書いたらそれが妙に一部で不評のwacremaです。
良いじゃねえか、乳当たる位。俺が触りに行ってる訳じゃなし。
とか書くとまた怒られたりするので先に謝っておきます。
何か知らんけどごめんよ。


 で、今回の任務は音声主観評価。
これは次世代携帯で音声圧縮した際に、どこまでが人にとって不快、または聞きづらいものとなるか、をテストされるもの。
まあ、実験台と言えばそれまでだが。


 YRP野比と言う、やたら変な名前の駅からバスで10分程度、山中に開けた広大な研究集合施設がその現場だ。(因みにYRPは横須賀リサーチパークの略らしい)
ここは各携帯メーカーがこぞって研究所を作っている。KDDISony Ericcson、富士通パナソニック、などなど錚々たるメンツが揃っている。
その中の一社で開始。テスターは俺の他にも数人。


 中に入ると、歴代の携帯が陳列されていて、昔の羊羹みたいな携帯も並んでいる。
その近くの、防音室に通され詳細を説明される。
ちょっとしたパーティションで区切られた机に座り、ヘッドフォンを片耳だけあてて雑踏、音楽などが背景に流れるナレーションを2度聞いて、前者より後者の方がどう聞こえたか、その音質を「耐えられない」から「前のよりも良い」までの5段階で評価を付ける。


 音質は平均してAMラジオ程度の音質で、話される内容は取るに足らぬものばかりなのだが、話し方がNHKのAMのそれを彷彿とさせ、また入るノイズが更にAM臭さを出す。
更に、逢えて酷い音質にしてあるものを聞いていると、何故だか妙に「怖い」感じがする。
人の怖さのツボは差異があるだろうが、妙に明瞭なざわざわとした音を背景に、酷いノイズ混じりにNHKのAMっぽいナレーションを聞いていると、恐らく心の奥にある何かに触れられるのだろう。
そうだな、ニュアンスとしては深夜、AMラジオで「事故で亡くなった方々」の名前を知らせる放送を聞いている時の感覚に近いかも知れない。内容はそれと比べて遙かに何でもない事を話されているのに。


 これはテスト4セット+本番16セットで構成され、一回のテストが終わる事に5分程度の休憩を挟み、計4回ほど行う。
集中しているからか、一回のテストが終わると妙な疲労感が体に残り、ストレッチをするとばきばきと音を立てる。
また、ずっと同じ調子で似たような内容のものを聞いているとどうしようもなく眠くなってくる。
睡眠は十分に取ったのだが、それでも催眠状態になって行く。やべー。


 まあ、こんな感じでテストと休憩時間のストレッチを重ね、テスト終了。
帰りしな、同じ派遣屋を使っていると言う男と話す事になった。
日雇い稼業を2年近く続けていると言う男で、主に肉体系の仕事をしているらしい。その様々な現場の話を共通項として話していたが、正直俺は話したくなかった。
理由は良く分からない。普通に、仕事で一緒になった奴と話す事なんて腐る程あるのに。
ただ、彼の話し方から漂う知性の無さ、「俺はこんなに苦労して偉いんだ」的な内容、そしてそこはかとなく漂う病的な一面。それらが俺を不快にさせていた。否、不快と言うと大仰かも知れない。ただなるべく早く遠ざかりたいと思ったのは事実なのだ。
だから、いつもとは違う駅で「俺ここで乗り換えますから」と一度降りて、また後の電車に乗り換える始末。


 けれど、それはひょっとしたら俺の姿かも知れないのだ。
俺がこうして書いている事によって、俺自身がそのように見られているかも知れないし、また今はそうでなくとも、次第にどこかしら浸食され知らずの内に病的な側面を見せ始めるかも知れない。
何が病的か、何が異常かなどと断じる事は出来ぬし、不毛だろう。それは主観的なものであるし、また客観としたところで絶対数の差異にしか過ぎないからだ。
ただ、俺は「ああはなってはならない」と思ったし、またその為に知性を蓄え感性を磨き、多くの人と接し常に社会との接点を維持し続ける必要がある。
「バイトしてるから」なんて事は社会の接点としては希薄だ。もっと本質的な意味で、人と接し社会と接す事を俺は目指さねばならない。
大概、失礼な事を書いていると自認はしている。「お前だって人の事言えるか」と言われたらぐうの音も出ない。
でもだからこそ、俺自身の為に書かねばならんのだ。