総選挙前夜・郵政民営化とは何か改めて

 さて、愈々総選挙前夜となった。
今回の総選挙は「郵政民営化事業法案」が否決された事に小泉がふて腐れて内閣を解散、総選挙となったいきさつがあるのだが、ではそもそも、郵政民営化とは何なのか、そうする事でどのようなメリットがあるのかと言う説明や議論が満足に行われていない−調べようと思えば確かに調べられるのだが、実際そうしてる人が多いかと言えばそうでは無いだろうし、また国民にわかりやすく説明するのが提案したものの責務であるだろう−と言う問題がある。
事実、総選挙を前にして郵政民営化が何をもたらすのか、と言う事について明確なものがあり投票しようというよりは、寧ろ曖昧なまま投票に臨もうという人が多いのではないかと察する。
従って、俺なりに調べた事や思う事をここに載せてみる。


 ・郵政民営化の狙い
要するに、「郵便貯金」として扱われる莫大な金を潤滑に動かせるのが一つの目的。
郵政公社で集められた金は国、地方自治体、特殊法人などへと流れており、これを自由競争の原理に従い民間へと還元する事によって金の流れを変えて循環させやすくしよう、と言うもの。特に、特殊法人などの無駄遣いの背景にはこの郵貯の金をもくろんでる物が多く、その財源をカットすれば多少はマシになるんじゃないか、と言う事。だから利権問題で反対する人も多い。
亦、郵便局員の削減を図りその人件費を抑える目的もある。


 ・郵政民営化のメリットとデメリット
まず挙げられるメリットは上記の「滞っているお金の循環を円滑にする」事である。
また民営化させる事で郵政関連に当てていた税金をカット出来、また同時に法人税などの収入が見込まれる。


 ・郵政民営化のデメリット
亀井静香も言っていたが、民営化され株式公開されたら、当然買える人は買うだろう。それが外資であったらどうなるか。
民営化された郵政が稼いだ金が国内に還元されるのではなく、どんどん海外へと流出していく恐れがある。否、恐れなどというものではなくほぼ現実的になるだろう。
亦、仮に特殊法人となった場合、道路公団のように単に名前が変わるだけで、利権構造や癒着などはあまり変わらない可能性も大きい。
と、なると構造改革と言いつつも構造自体は変わらないというパラドクスに陥る。


 無論、郵政民営化に関わる事はこれだけではなく、保有する国債など数多くの事がある。
その内で分かりやすく、かつ大きなウエイトを占める所を重点的に書き出した。
そして、その上で民営化に賛成か反対か、と問われれば俺は賛成なのだ。
民間で出来る事を官に任せておくと、大概ロクな事がない。と言うのは、官のヌルさが原因である。
以前、社会保険庁の事務所を移転した際にも少し書いたが、兎角無駄が多い。その無駄は、大きな甘えから来ているものでは無いかと俺は分析しているのだが、民営化する事でその甘えも捨てざるを得なくなるならば、大きなコストカットに繋がるだろう。


 ただ、この選挙自体、あたかも郵政民営化の是非を問うているようだがそれだけでは無い事を認識しなくてはならない。
良いですか、ここ大事ですよ。
小泉政権が何を齎したか、そしてこの先何を齎し続けるのか。
フリーターやサラリーマンに対する増税イラクへの派遣問題。雇用問題。そして何よりも「構造改革」の当初予定と現在位置。
それも大きなウエイトを占めているにも関わらず、その議論や考察があまり為されていない。
まあ、コレも一つの作戦ではあるのだろうが。


 俺達は総選挙と言う、この先数年に渡る日本の行く末を決める岐路に立っている。
俺は、この場ではどの政党にしろとか、そういう野暮は言わない。
俺達、遍く国民は、「有名だから」「誰かが勧めるから」「なんとなく」等という曖昧な理由からではなく、「この政党はこういう事を目的としているから」「この候補者はこういう事を言っているから」と言う、各個人の中の明確な意志に拠って俺達自身の未来を選ばなくてはならない。
その意志を形作り、固める為に情報というものは存在するのだ。一時的な、また一点のみの事に注視するのではなく、万遍なく物事を見、聞き、知り、それぞれの意志を固めた上で、俺達は選挙に行くべきなのだ。