事故経過

 こんばんは、主食は珈琲とカントリーマアムのWacremaです。
いや、他にはなかなか口の中に入れる事が難しくて。


 事故ってから次の日、全身が痛くて起きあがれず、また阿呆ほど眠りこけていた。
更に明けて翌日、尚も全身を筋肉痛が襲うものの、病院に行って診断書を書いて貰わねばならんので渋々と足を運ぶ。
担当した先生は違ったが、なんだろう、この病院の医師に対する不信感は。
患者に対する対応、言葉遣い、あらゆるものが俺から信頼を奪っていく。
実は病院に来る前に、この病院の事をあらかじめネット調べておいたのだが、あまり良い評判は無く、むしろ酷いものになると「暴走族でさえも事故って担ぎ込まれる際に泣いて拒否する」と書かれていた位だった。
そういえば俺も高校くらいの時に、そう言う噂を聞いた事はあったが、如何せん時間は経っている訳だし、医師も入れ替わっているだろうからそこまでは酷くないにしても、患者から信頼されない医師というのも根本的に問題がある。


 看護婦は粗雑にガーゼを剥ごうとし、傷口に血で張り付いた所が引っ張られて痛い。
しょうがないので少しオーバーに「いててててて」と意思表示し漸く生理食塩水で溶かす技を出される。
結局、ここではガーゼを取り替えただけで特にする事もなく、併設されている歯科への検診も勧められたが、嫌な予感がしたので弟から勧められた歯科へと赴く。
その際に、歩道に置いてあった原付を回収。
事故の衝撃でライトは点灯しないが辛うじてエンジンは作動したので、そのまま家まで持って帰り、改めてモノレールに乗る。


 歯科では若い女性医師が担当だった。
最初はその若さに懸念したが、対応はきめ細かく配慮も行き届いていた。
前の医者では折れてる歯は1本、罅が入ってるのが1本という事だったが、ここでは罅は計2本で、特に前の一本は状態が酷く残っていたのが不思議という事だった。
道理で痛むはず。取りあえずその痛む歯を何とかして貰わん限り食事も満足に取れない旨を伝えると、わかりました、と治療が開始された。
レントゲンを撮り現像を待つ間に「歯磨き出来ないでしょうから、今磨いておきますね」と磨いて貰う。
珈琲と煙草とでさぞ汚いだろうと恥ずかしくもあったが、そう言った心遣いは嬉しい。


 治療の結果、俺は前歯2本を喪失した。
唇が腫れているので会話する際に変に噛む。
けれどもある程度満足に噛めるようになったのは有り難い。
今は食って寝て、体力をつけなければならない。
その意味でも、ちゃんと食える事は非常に大きな意味を持つのだ。


 家に帰り、鏡を見直すと、大きく腫れた唇と抜けた前歯の所為で非常に不細工な俺が居た。
また、病院で生理食塩水を使った際に乾いた血が洗われてガーゼでは覆われていない傷も見える。
少なくとも、今人と逢ったら100%引かれる事は間違いない。
今が冬で良かった。マスクで隠す事が出来るから。