スポット(日雇い)派遣の廃止はワーキングプアを救うか


 そのグッドやフルキャストの不祥事などから端を発し、政界ではスポットの禁止を視野に入れた協議を重ねて居ると言う。
それに対し、経済界はこぞって反対の意思を表明している。
曰わく、スポットは企業、労働者の双方にニーズがあると。


 俺もその意見には賛成であるし、スポットを禁じた所で本質的解決の糸口にはならない。


 スポットには、実は多様な人達が携わっている。
体を壊して病院に通いつつ仕事をしている人。
本業を別に持つものの、それだけでは食えずに登録している人。
資格の勉強をしつつ、派遣に来ている人。
そして、学生。
スポットを禁じる事は、彼ら彼女らの食い扶持を奪う事に等しい。
また、会社の中には閑忙の差が激しく決して毎日は人がいる訳ではない所もある。イベント系や引っ越しなどが最たる例だろう。
そうした所に常勤で人を雇えと言うのは、潰れろと暗に言っているようなものだ。


 では、本質的解決に至る方法は何だろうか。

それは、スポット、長期限らず、派遣会社の取り分を一律に決定し、ピンハネ率を低く抑える事だ。
具体的には、元請けから支払われる金額の20%程度だけを派遣会社は受け取り、給与支払い時にそれを明記する。
また、現在多重派遣は禁止されているが、元請けが支払う額の80%以上を労働者に給与保証するならば多重派遣も容認する。
今まで、多重派遣がひどいと言われて来たのは、元請けから二次、三次と下る最中に40%程度ずつのマージンをそれぞれの会社が抜き取り、結果労働者には最初に元請けが支払った額の20%程度しか支払われないなどと言う事が良くあったからだ。
このようにして、労働者が得る賃金を現状の二割以上ベースアップさせる。


 本来、こうしたサービスは公的機関が行うべきものだろう。
だが、現在は派遣業界自体肥大化し、利用する企業、スタッフたちの数も膨大な数に登る。
それを税金を使って管理するのは莫大な支出を招く。
それならば既存のものを上手く利用する方が無駄も少なく出来るのではないか。


 あとは、新卒神話を捨て正社員登用の道のりをもっと平坦にする事である。
「雇用の流動化」と煽っておきながら、実は一方通行だと言うのはおかしな話だ。


 先日の秋葉原での通り魔事件の余波もあってか、ワーキングプア対策が急務、と取り沙汰されているが、方策を間違えば今よりひどい事になり、社会不安などから弱い者や不特定多数を狙った犯罪や暴動などが頻発するような国に成り下がる可能性もある事を忘れてはならない。