粉瘤アーカイヴス

 今回は粉瘤(ふんりゅう)の話です。
拠って、毎日ここを覗きに来ているような方からは面白みもへったくれも無いとは思いますが、逆に、粉瘤や男性器や女性器のできものに悩んで、検索してここにやってくる人達への参考になるんじゃないかと思い記す事にします。


 以前から何回か書いているが、俺は耳に粉瘤と呼ばれるできものが出来る体質である。
俺の場合は遺伝によるものらしく、実際に父親もそうであったというから、間違いないだろう。
粉瘤が出来るプロセスとしては、体の毛穴などが、何らかの原因、例えば化粧や汗、垢、ほこり、石けんの洗い残しなどが詰まって塞がってしまった所に、更に垢や汚れなどが溜まって大きくなる、良性の腫瘍である。
出来る場所にもよるが、場合に拠っては手のひら以上の大きさにまで成るという。
なお、体の何処にでも出来る可能性がある。
粉瘤自体は、怖がるようなものでもないし、もし今それに掛かって不安で居る人は、安心していい。


 粉瘤の、中に溜まる内包物は、先程は垢や汚れと書いたが、体が勘違いして皮膚を再生しようとしているケースもあるようだ。
実際、俺は米粒大の内包物(以下コアと表記)を自分で摘出したあと、どのようなものなのかを調べる為に水にさらして置いた所、広がって一枚のふやけた皮膚の様になった。
一度出来ると癖になる、と言うのは、毛穴などが広がる為などの他に、上述した、体が何か勘違いをして皮膚を再生しようとしている事も関係が在るかも知れない。


 そして、最初の方に性器にできものと書いたが、それも粉瘤の可能性が高い。
特に女性は、下着がぴっちりとしたものが多く、締め付けられる事によって毛穴が恒常的に塞がれてしまい、結果、所謂パンツラインにできものが出来るケースが多い。
また、座って骨が当たる所も、圧迫され続け毛穴が閉じ、粉瘤が出来やすくなる部位である。


 ただ、毛穴が閉じちょっとしたしこりのような状態であるのならば、あまり生活には支障がない。
しかし、例えば今の時期の様に暖かくなり、雑菌が繁殖しやすくなると必然、その雑菌が毛穴に入り毛膿炎のようになったり、しこりが化膿して大きく腫れ上がる事もある。
更に、ストレスや疲れ、或いは病後など体の免疫力が低下しても、このように腫れてしまいやすくなる。


 俺の場合は、今までタコの吸い出しという薬を使っていた。
これは普通の薬局でも手に入る、深緑色の軟膏で、使うと化膿を促進させる効果があった。
更に厳密に言えば、皮膚にダメージを与えおできなどのコアが出やすくなるようにするものらしい。
しかし、一般の皮膚科の先生方はこの薬の効果を信じてはいないらしい。
用法としては、或る程度腫れ上がった患部の口(無い場合は消毒した針で穴を空け)の上にこの軟膏を乗せ、絆創膏をしてカバーしておく。
そうすると、上手く効く時は一気に化膿し、翌日あたり、入浴した際に膿と一緒にコアが排出される。
但し、化膿が促進される事で痛みも必然強くなる。


 だが、やはり一番良い対処法は皮膚科に行く事である。
勘瘤の場合は癖になると書いたが、原因となるその袋状になっているブツを切除する事で、同部位が再発する可能性が低くなるらしい。
また、切る事には怖さもあるが、後の楽さ、残らなさは切る方が圧倒的に上だ。
それに、尻や性器付近に出来たものだと、どうしても気恥ずかしさがあってなかなか相談や診察に行く事も出来ず、結果患部がより悪化してしまいがちだが、患部が小さい程切除もすぐに終わり、痕も残りにくい。
もし、女性であるなら、女性のやっている皮膚科を探し行くのが良いだろう。


 但し、性器付近の場合は別の原因、例えば性病などの可能性もあるため、素人判断は禁物だろう。
一番多く勘違いされるのがヘルペスではないだろうか。
ヘルペス、と言うとおっかない性病のようで、例えば自分は特定のパートナーとしかセックスしていないから、そんなのには感染しないと思いこんでいる人も居るかも知れない。
しかし、ヘルペス自体2種類あり、感染ルート自体も接触感染、飛沫感染(くしゃみやせきなど)、セックスによる感染とある。
自分がどのような症状であるかを知るのはプロに任せるべきで、慢性的に罹患し慣れているなら兎も角、そうでないなら軽率に判断すべきではない。


 切除の話に戻そう。
切除は、部位の大きさや場所によってかかる時間や費用なども変わるだろうが、俺の個人的経験から言えば、およそ20分くらい、費用は3000円くらいだった。
俺は耳の裏なのだが、最初にきちんと「麻酔してくれ」と言えば、大抵はどんな医者でも麻酔をするだろう。その、最初にある痛み、そして摘出する時の痛み−と言っても、我慢出来るレベルだとは思う−に耐えさえすれば、後は非常に楽だ。
部位や、症状、そして皮膚科によっては麻酔無しでやろうとするが、その際には本当に、きちんと麻酔するように言う事。
切除後数日は当然、傷口を保護するためにガーゼを当てたりするが、余程酷いとか、場所が悪いって場合以外、あまり入院とかってことは無いだろう。


 一応、この症状に悩む人が疑問に思う点などを中心にまとめてみた。
前述したが、場所によって、人には言いづらいものではあると思う。
しかし、その場の気恥ずかしささえ乗り越えられたら後は本当に楽になるので、悩んでる人は是非とも、皮膚科に行く事を勧める。


 で、なんでこんな事急に書いたかってえとですな。
風邪引いてるじゃないですか、俺。
それで抵抗力が弱まって、プラス、外出時の疲れとこの気候でまた耳の粉瘤が化膿してデカく腫れ上がりやがったんですよ。
で、件のタコの吸い出しを使ったけど失敗に終わったので、今日、また切除してきた。
累計3回目。正直ムカつく。


 今日行った所は、JR京浜東北線港南台って駅のすぐ近く、夏の花の名前の皮膚科。
そこは女医さんで、かつ説明も懇切丁寧で良い印象を抱いた。
その所為か、待つ人も多く、小一時間ほど待ったかな。でも、その甲斐はあると思う。


 今日は、患部のコアを摘出はせず、溜まっている膿を切開して排出するだけだった。
横浜市大病院で切除した際は、一気にコアも摘出してくれたので、正直狐につままれたような気分ではあったが、化膿し炎症を起こしていると、件の袋が癒着してしまい、上手に摘出出来ない侭になるという。
そうすると、また傷が治ってからいずれ再発する可能性が高いらしい。
だから、炎症が完全に治まってから改めて切除したい、と仰った。
因みに、炎症を起こしていない場合は本当にすんなりと取れるものらしい。


 ま、早速麻酔かけられて、寝台に横になり、どうしても襲ってくる痛みを耐える為に何かいつの間にか手で印を結んでいて、冷静な自分が「俺何で印結んでんねん。忍者か。」とツッコんでいたり、切られ膿を絞られる際に足がどうしてもピョコって動いてしまって、恐らく、端から見てればエキセントリックな光景だったとは思う。
だって、考えてみ。
ベッドに横になった、いい歳した男がよ。
何か知らんけど手で印を結び、時折ぴょこんって足動かすんだぜ。カメラで撮ってたら絶対笑うね。
つうかほんと思った。俺何者やねん、と。


・追記
もし、検索エンジンなどでいらした方で、お知りになりたい事があれば、メール下されば答えられる範囲でお答えします。
勿論、秘密は厳守いたします。
ですが同時に、俺は医者でも何でもない、唯の一患者だという事をお間違え無き様。
俺もこの症状に苛ついているので、俺が今までに得た経験や知識が多少お役に立てれば幸いです。