イラクで人質になった奴と、今後

 イラクで放浪中に誘拐されたと見られていた香田証生なる男の遺体らしきものが見つかったという。
ソースは>>こちら。
新潟地震の余波もまだ冷めやらぬ間に起こった事件で、世間の関心はこの彼の行動の不可解さも相まって極めて冷ややかではあったが、事実上、イラクとの関わりに新展開を迎えた事は変わりない。


 至極個人的な感情から言えば、「莫迦かこいつ」の一言*1なのだが、いずれにせよ遂に日本人が政治の駆け引きの道具として殺された事はやるかた無い思いでもある。
多分、今のイラク武装勢力の心境としては「(アメリカに)むしゃくしゃしてやった。外国人なら誰でも良かった。」と言う様な感じだろう故に、日本人だからこそ狙われたと言う深刻な状況では無いのが救い。
ただ、それが何時変貌し、「他にも外国人が居る中で敢えて日本人が狙われる」という状況になるか分からない。
そして、そうなった時に初めて、日本の国民が事態の深刻さを痛感する事になるのだろう。


 これまで、イラクで犠牲になった日本の方は4人。
それも、脅迫という意図ではなく何かに巻き込まれるような形で亡くなっておられる。
以前人質となった3人も、結果無事で帰って来て居た訳だし、だからこそイラクに対する現状認識の甘さみたいな物が、香田証生と言う男ほどの甘さでは無いにしても、どこか俺達の内にあるのでは無いだろうか。


 今、イラク国内で起こっている外国人に対するテロは、誘拐がメインであるだろう。*2
言い換えれば、自分の所に入って来た奴だけをターゲットにしている状態である。それは、資金や人材が豊富な大がかりな組織が矢面に立っているからではなく、どちらかといえば資金的にも脆弱なチンピラというか、愚連隊というか、そう言うニュアンスの血の気の多い連中が矢面に立っている事が理由であるからだ。
しかし、もし日本が今後もイラクに駐屯し続ける以上、アルカイダの様な大がかりな組織が敢えて日本を狙ってくる可能性も増していく。そこをどう捉えるか、だろう。


 正直、俺はこの香田と言う男に対し一片の同情にも至らなかったのであるが、自衛隊の撤退という事に関しては好機であったと思う。
そろそろ、イラク駐留の期限が確か切れる頃である。アメリカへの義理は既に果たしただろう。イラクの復興も、当初の混乱期は疾うに過ぎ、これから波に乗り始める頃では無いだろうか。
だとしたら、先ず一度期限だからと言う事で撤退させ、その後イラク政府の方から国連を通じ依頼されたなら再び派遣すれば良い。
そうなれば少なくとも、「イラクからの要請」という言い訳が立つ。


 恐らく小泉は「テロには屈しない」と自衛隊の派遣を引き続き行うだろう。
だが、テロと戦う事は派遣をすると言う事ではない。色々な戦い方がある。兵糧責めだって一つの戦い方だし、何もただ猪突するだけではないだろう。長期的に見て、イラクに派兵し続けるのはメリットよりもデメリットの方が大きくなるだろうし。
そして、テロと戦う事も大事だが、自国の事もまた大事だという事。
新潟や福井、兵庫などで大規模な災害が発生し今も困難な状況にある人々が居ると言う事を踏まえ、まず自国の事を鑑みて欲しいものだと思う。

*1:註:俺は死者に鞭打つような事は大嫌いだが、現時点ではまだ遺体が確認されてないので敢えていう

*2:バグダットなどで頻発している自爆テロの類は自国民へも含めたテロだから、敢えてこれは数えない。